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進化しつづけるジェネシスは、その進化ゆえに同時代のプログレッシヴの中でひときわ目立つ存在だ。複数の顔を持つという以外に言いようもない。オリジナルのヴォーカリスト、ピーター・ガブリエルは70年代前半のアルバム『フォックストロット』『セリング・イングランド・バイ・ザ・パウンド』に見られるように、歌詞をひねくりまわしてマッチョなパフォーマンスを見せた。伝えられるところによると、彼は恥ずかしさを克服しようとマスクやメイクアップをつけ、小道具を使い、やたらに喋ったとか。驚くほど野心的なダブル・アルバム『ザ・ラム・ライズ・ダウン・オン・ブロードウェイ』をリリースした後、75年にガブリエルはバンドを抜ける。ドラマーだったフィル・コリンズがヴォーカルをかって出て、やがて80年代で最大のビッグ・バンドに成長。その間にアート・ロックから、プロデューサー主導の大衆を意識した売れるポップへとシフトしていった。新しいシンガー、レイ・ウィルソンをひきいれ、書きためてあった未公開曲の集大成を元手にして、ジェネシスは今も健在である。