eastern youthの記事一覧

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88年に札幌で結成。丸坊主にメガネというロッカーらしからぬ風貌をもつ吉野 寿(vo&g)、田森篤哉(dr)、二宮友和(b)から成るスリーピース・ロック・バンド、eastern youth。結成当初はUK及びUSのパンク、ハードコアから影響を受けた硬質なサウンドを持ち、また吉野寿のヴォーカルも所謂ハードコア・スタイルが取られていたが、その後は激しいながらもパンクの概念に捕われない、「真心の籠った歌を紡ぐバンド」としての境地を確立。以降、志の高い優れた作品を創り続けており、国内のみならず海外からの評価も高い。
『孤立無援の花』(97年)『旅路ニ季節ガ燃エ落チル』(98年)『雲抜射ケ声』(99年)——作品タイトルを並べただけでも、彼らが現在の音楽シーンにおいて異質な存在であることは窺い知れるだろう。内なる激情——憤り、焦燥、孤独、やるせなさ——を徹底して日本語で綴った詞作。しかし、それは意図的に作り上げられたスタイルではなく、赤裸々なまでの自己描写を模索する吉野 寿(vo&g)にとって必然だ。また歌詞だけでなく、寂寥として骨太なラウド・ギター・サウンド、「わびさび」に通じる詩情をたたえたメロディ、渾身のヴォーカリゼーション(それは時に叫びであり、時に呟きである)——全てがエモーショナルの極致であり、圧倒的説得力で聴く者の心を捉えている。