ヨルシカ、なぜ「あぶく」MVは世界に共鳴したのか? 国境を越えて機能した“芸術作品”としての精度

ヨルシカの新曲「あぶく」のMVが、国内外で大きな反響を呼んでいる。
同作は4月24日にYouTubeで公開されて以降、急速な再生数の伸びを見せ、YouTubeの「デイリーミュージックビデオランキング」において、日本の4月25日付で1位を獲得し、現在もトップ圏を維持。韓国と台湾では最高26位を記録し、アメリカでは最高順位54位、そしてカナダでは最高順位44位と、複数の地域でチャート入り(※1、2、3、4、5)。日本を中心としたアジア圏での評価と、何より最大の音楽市場であるアメリカでもランクインするという目覚ましい結果を残している。
このグローバルなヒットを生んだ理由のひとつが、MVの構造だろう。部屋にひとりいる男のもとに、黒ずくめの人物が現れて男を銃で撃つ。男は死ぬが、すぐにまた最初に戻る――いわゆる“ループもの”だが、本作はその見せ方が抜群にうまい。序盤は短くあっさりと繰り返されていた“死”が、サビに入ると様子を変える。男は少しずつ学習し、解決の糸口を探り、簡単にはやられなくなっていく。抵抗する時間が伸び、「今回は生きられるかもしれない」と視聴者に思わせる。この変化が楽曲の盛り上がりときれいに噛み合っているため、観ている側も自然と引き込まれてしまう。
この作品における、何度も撃たれてはやり直す男の姿は、ある意味で我々の日常そのものだ。コンポーザーのn-bunaも、本作について「(この曲は)僕たちの生きている生活」(※6)だと語っているように、うまくいかないことを繰り返しながら、それでも試行錯誤し、少しずつやり方を変えながら前進していく。その愚直さ、地道さにこそ価値があるのだと、MVは視覚的に語っているように思う。
MVは後半になって急展開を見せる。傍観しているもうひとりの人物(=視聴者)の存在に男が気づき、部屋に引き摺り込む。何度も何度も繰り返す男の“死”をただ見つめるだけだった視聴者が、物語の参加者となり、ついには撃たれてしまう。このメタ的な仕掛けによって、MVはただのフィクションから、“問題提起”へと姿を変える。見ているだけのあなたもいつかは――と視聴者の立場そのものを揺さぶってくるのだ。
本作の映像を手掛けたのは、映像制作ユニット・擬態するメタ。実写とアニメーションを織り交ぜた独創的な映像で知られており、ヨルシカとは2024年の「忘れてください」以来、2度目のタッグとなる。
彼らの手腕が最も光っているのは、やはり終盤に用意された“メタ構造”への発展にある。ループの果てに、現実と虚構の境界が崩壊し、画面の外側にいて物語とは無関係だと思われていた視聴者自身も、作品の一部として取り込まれていく演出は、ユニット名通りの“メタ的”な展開であり、同時にリアルと創作とが綯い交ぜになった彼ら特有の表現手法が真骨頂を見せた瞬間と言えるだろう。
サウンド面も見逃せない。小気味よいギターリフが、全体のダイナミックなアンサンブルを牽引。複雑かつ緻密に絡み合う楽器陣のなかで、suis(Vo)によるエモーショナルな人肌のボーカルワークが胸に刺さる。演奏面のループ構造と、そのなかで響きわたる歌声の力強くもどこか哀愁を帯びた情感が、聴く者の心を妙にくすぐってくる。
現在、YouTubeのコメント欄には日本語以外の言語も多く並んでいる。この幅広い反響は、単に「海外でも見られている」というより、「作品そのものが国境を越えて機能している」と言ったほうがしっくりくる。繰り返される殺人を、ただ見ているだけの傍観者。そんな一見“無関係”に思える存在が物語の重要なキーとなっていくこの作品に、世界の人々が共鳴している。
※1:https://charts.youtube.com/charts/TopVideos/jp/daily
※2:https://charts.youtube.com/charts/TopVideos/kr/daily
※3:https://charts.youtube.com/charts/TopVideos/tw/daily
※4:https://charts.youtube.com/charts/TopVideos/us/daily
※5:https://charts.youtube.com/charts/TopVideos/ca/daily
※6:https://realsound.jp/2026/03/post-2338290.html
■配信情報
Digital Single『あぶく』
配信中
配信URL:https://yorushika.lnk.to/bubble
■イベント情報
『ヨルシカ「二人称展」』
東京・UNIVERSAL MUSIC STORE HARAJUKU 1F・3F
2026年5月14日(木)〜2026年5月31日(日)11:00~20:00
東京都渋谷区神宮前1-20-6
入場料:無料
https://store-harajuku.universal-music.co.jp/
大阪・ZeroBase 道頓堀
2026年6月10日(水)〜2026年6月21日(日)11:00~20:00
大阪市中央区心斎橋筋2‐4‐5
入場料:無料
https://zerobase.kesion.co.jp/dotonbori/
<入場方法>
一部事前予約枠を設けてのご入場案内となります。
事前予約なしでもご入場いただけるフリー入場枠も設ける予定ですが、混雑状況により入場制限を実施いたします。また、整理券を発行する場合がございますので予めご了承ください。
予約枠の詳細に関しては、特設サイトよりご確認ください。
『ヨルシカ「二人称展」』特設サイト:https://universal-music-store.jp/yorushika-nininshoten
■ツアー情報
『LIVE TOUR 2026「一人称」』
※終了した公演は割愛
<愛知・日本ガイシホール公演>
2026年5月30日(土)OPEN 17:00/START 18:00
2026年5月31日(日)OPEN 15:00/START 16:00
チケット
・S席:12,000円(税込)
・A席:10,500円(税込)/A 車椅子席:10,500円(税込)
・B席:9,000円(税込)
・注釈付き指定席:8,500円(税込)
<神奈川・横浜アリーナ公演>
2026年7月29日(水)OPEN 18:00/START 19:00
2026年7月30日(木)OPEN 18:00/START 19:00
チケット
・S席:12,000円(税込)
・A席:10,500円(税込)/A 車椅子席:10,500円(税込)
・B席:9,000円(税込)
<福岡・マリンメッセ福岡A館公演>
2026年8月4日(火)OPEN 18:00/START 19:00
2026年8月5日(水)OPEN 18:00/START 19:00
チケット
・S席:12,000円(税込)
・A席:10,500円(税込)
・B席:9,000円(税込)/B 車椅子席:9,000円(税込)
・注釈付き指定席:8,500円(税込)
<千葉・LaLa arena TOKYO-BAY公演>
2026年9月15日(火)OPEN 18:00/START 19:00
2026年9月16日(水)OPEN 18:00/START 19:00
チケット
・S席:12,000円(税込)
・A席:10,500円(税込)/A 車椅子席:10,500円(税込)
・B席:9,000円(税込)
・注釈付き指定席:8,500円(税込)
注意事項
・本公演では全ての日程において、座席での立ち見の観覧を可能とさせていただきます。
・ライブ中の声出し、拍手、クラップなどの行為は問題ありません。ただし、朗読中や曲間での大きい声出しや出演者への声掛けはご遠慮ください。
・また、周囲の観覧を妨げるような大声での歌唱はご遠慮ください。
・その他、チケットの申し込みや注意事項に関しての詳細は、特設サイトよりお確かめください。
ツアー特設サイト:https://yorushika.com/feature/livetour2026_ichininsho
ヨルシカ オフィシャルサイト:https://yorushika.com/
X:https://x.com/nbuna_staff
Instagram:https://www.instagram.com/yorushika_official_/
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCRIgIJQWuBJ0Cv_VlU3USNA
TikTok:https://www.tiktok.com/@yorushika_official


























