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ロックのダイナミズムと愛すべきオトコの哀愁が充満するかの地・マンチェスターにおいて、これほどまでにローファイなリリシズムを発するアーティストがいまだかつて存在しただろうか——バッドリー・ドローン・ボーイことデーモン・ゴッホ。トム・ヨーク(レディオヘッド)やリチャード・アシュクロフトといった豪華ゲストが話題となったUNKLE(ジェイムス・ラヴェル)のアルバム『サイエンス・フィクション』(98年)参加により一躍脚光を浴び、マンチェスター新世代の変人アーティスト誕生……とばかりに各方面を騒がせた。
その雑食性と豊富な音楽的バック・グラウンドを感じさせるEPを何枚か発表したあと、00年に1stアルバム『ジ・アワー・オブ・ビウィルダー・ビースト』をリリース。アイリッシュ・フォークの影響もうかがえるアコギ・グルーヴが奏でる曲は、マンチェスターという土地が拭いきれないダークネスへのカウンター・ソングスとなって囁かれてるような趣き。ブルース/カントリー/ブレイクビーツ/サイケ/フォークと幾多のエレメントが血となって流れるメロディの汎用性は計り知れない。
一度聴けば、彼の実験性の裏にある"酔いどれロマンチスト"な風情も垣間見ることができるはずだ。

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