欅坂46 平手友梨奈、「夜明けの孤独」に秘めた可能性とは? 歴代ソロ曲の傾向から分析

 3月7日にリリースされる欅坂46の6thシングル『ガラスを割れ!』より表題曲のMVが公開され、収録されている楽曲もすべて公式ホームページにて発表された。その中でTYPE-Aに収録される平手友梨奈のソロ曲「夜明けの孤独」は、発表される前から平手がブランドミューズに就任した『24h cosme』の新CMでオンエア。このCMで平手が「大人の作った世界には従わない」と囁いているように、同楽曲では、グループで見せる魅力とはまた違った一人の少女の成長記と共に、内に秘めた感情が描かれている印象だ。そこで今回は、平手の歴代ソロ曲について振り返ってみたい。

欅坂46『風に吹かれても』

 平手のソロ曲は、1stシングル『サイレントマジョリティー』収録の「山手線」、2ndシングル『世界には愛しかない』収録の「渋谷からPARCOが消えた日」、1stアルバム『真っ白なものは汚したくなる』収録の「自分の棺」、そして「夜明けの孤独」の4曲だ。グループとソロとでは、詞のメッセージ性が異なる。欅坂の曲が、社会や友達に対する若者の代弁者的な役割を果たしているのに対し、ソロの楽曲は、内に秘めた思春期の悩みや思いといったパーソナルなものになっている。ただ2曲目までは、ソロアイドルが全盛期だった7、80年代の雰囲気が漂っており、大人たちが考える思春期の少女像を平手に投影していたように思う。

 「山手線」は、薬師丸ひろ子や原田知世などが活躍した角川映画全盛期のような曲調で、居場所が分からない思春期の自分を「このまま何周すれば大人になれるのでしょうか?」と、山手線という環状線に例えている楽曲。一方で、「渋谷からPARCOが消えた日」は、言葉尻にレジスタンスやロンリネスなどの単語を使用し、サビは「PARCO」を何度もリフレインするという80年代ポップス風の歌謡曲であり、中森明菜を彷彿とさせる。

 秋元康が『別冊カドカワ【総力特集】又吉直樹』で又吉直樹と対談した際、「欅坂46の平手にしても山口百恵さんにしても、ああいう人たちって、なんか一挙手一投足が深読みさせるんだよね」と、平手のことを山口百恵と同列に並ぶカリスマと評していた。ただ山口との決定的な違いは、平手は大人への不信感というものを常に訴えているところだ。それを秋元は以前、自身がパーソナリティを務めるラジオ番組『今日は一日“秋元康ソング”三昧』(NHKオンライン)にて、「永遠の反抗期なんですよ。永遠の中二病なんだよね」と例えていた。

 それが如実に表れ出した「不協和音」の頃には、平手はストレートに表現していたものが深読みという過大評価に繋がり、重荷に感じて追い込まれていく。この辺りになって、大人が思い描く少女像ではなく、平手という10代の少女が、必死にもがいている本質を描く方針に切り替わったのではないかと推測できる。平手は「憑依型」と言われるが、なりきってるわけではなく、楽曲が彼女自身に合ってきっているのだ。

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