サカナクション、『LIVE MONSTER』で創作術明かす「僕らが常に意識しているのは“良い違和感”」

 番組後半では、サカナクション内で定番になっていることとして、「楽曲の原案を山口が考え、他のメンバーが音作りをする間に山口が歌詞を書くという流れができているが、山口の歌詞を待つことが多い」ということを紹介。山口は作業を分業制にしていることについて「突発性難聴で片耳が聞こえなくなったので、(他のメンバーに)任せるしかないし、モノラル(片耳)で聴いて、感じることをメンバーに伝えたり、アレンジの部分で話すだけ」と、その理由を述べると、中村は「でも一般のユーザーはモノラルで聴いてるもんね」と返答。これに対し山口は「そう思ったら、『良い音』って『好きな音』なんだなって。綺麗な、美しい音やデータの容量が大きい音じゃなくて、個人個人が好きな音が『良い音』なんだ」と、音質についての自身の価値観を述べた。その後、部屋に篭って歌詞を書くという山口は「部屋が摩耗しちゃって。どこに立っても新鮮さがない。だから新しく引っ越して新作を作った。それまでは模様替えなんですよ。メンバーに『作曲始まるから模様替え手伝って』って」と、歌詞を思いつくために部屋の見た目を変えるべく試行錯誤していることを明かすと、ドラムの江島啓一が「最初は良い曲ができるならって思ってたけど、最近ちょっとめんどくさい」と本音をのぞかせ、メンバーを苦笑いさせた。

 そして新曲「蓮の花」の歌詞については、山口が「これ(映画『近キョリ恋愛』の)タイアップなんですよ。(最近)タイアップが続いていたんで、自分のやりたいことと、求められるものが、不器用なので折り合いがつかなくて。歌詞の段階でメロディを変えたりした。書いているうちにメロディに飽きてしまうし、メロディを変えるとすぐに歌詞ができたりして、それが音楽であり言葉なんだと思った」と、制作時の逡巡を語り、ダブ処理を施したサウンドが特徴の同曲をテレビ初披露した。

 番組の最後には「ミュージック」を披露し、中村からの「サカナクションを一言で表すと?」という質問に、山口が「僕らが常に意識しているのは、『良い違和感』」と答える一幕も。山口はその理由について「デジタルとアナログを混ぜるときに、気持ち悪いけど好きな部分。そこをバンドで表現したいなと思ってる」と語ると、中村も納得した表情で頷き、番組が終了した。

 山口と中村というトップミュージシャンによる、音質や制作方法を巡るやりとりを見ることができた今回の放送。次回11月2日はグループ魂をゲストに迎える予定だ。

(文=向原康太)

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト情報」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる