バンドじゃないもん!みさこ×ゆるめるモ!あの対談 「つらくても『余裕です』って顔をしたい」

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 メンバーの半分が楽器を演奏し歌い踊るバンドじゃないもん!と、“ニューウェーヴアイドルグループ”のゆるめるモ!。アイドル界でも異端の2組が10月21日にツーマンライブ『月見ル10周年記念「あっぱれむむむ~ん!!!」』を開催する。バンドじゃないもん!は今春、甘夏ゆずとちゃんもも◎こと天照大桃子が加入して世間を驚かせ、ゆるめるモ!は先日リキッドルームでワンマンを開催し、会場を満員の観客で埋めるなど、ともに話題の絶えない2組だ。今回リアルサウンドではバンドじゃないもん!のリーダーであるみさこと、彼女の大ファンでもある、あのとの対談を実施。司会に音楽評論家の宗像明将氏を迎え、両者の親交や互いの印象、さらには活動を続けるなかでの悩みやライブへの意気込みなどを大いに語ってもらった。

「Twitterのアカウントもいくつか持ってたけど、全部フォロー返してくれた」(あの)

――10月21日にバンドじゃないもん!とゆるめるモ!のツーマンライヴ「月見ル10周年記念『あっぱれむむむ~ん!!!』」が開催されるわけですが、お互いのアイドルとしてのイメージってどんな印象ですか?

みさこ:ゆるめるモ!は最初クラウドファンディング(ゆるめるモ!は以前CD制作のための資金を募っていた)で知ってて、あのちゃんが入るときにTwitterで「いつか対バンしたいです」って連絡くれて、みるみる間に一緒に出ることが増えて嬉しくて。ゆるめるモ!のクラウドファンディングでは「これは資金を送りたくなるな」と思ってました。それは、逆境を乗り越えるアイドルは応援したくなるけど、ゆるめるモ!は最初から何かに挫折してる女の子たちで、今までになかったアイドルだから、その時点で気になってて。

――加入のときにあのちゃんがみさこさんに連絡してたんですね。

あの:全然覚えてない……。

――そんな重大なこと忘れないでください!

みさこ:普通に以前から応援してくれていて、私もフォローを返してたんで。

あの:ゆるめるモ!に入る前からみさこさんのことが好きで、Twitterのアカウントもいくつか持ってたんですけど、全部フォロー返してくれました。

――あのちゃんの複数のアカウントをみさこさんがフォローしていた、と。

みさこ:それは今初めて知りました(笑)。

あの:神聖かまってちゃんのドラムも、みさこさんの存在自体もすごく好きでした。神聖かまってちゃんにみさこさんがいることで安心感がでるし、いるといないで全然違うと思う。「一番重要だな」って思ってました。女の子でちょっと変わってて面白くて、でもドラムを叩くとすごくパワフルだから好きでした。楽器かっこいいな、楽しそうだな、って。

――そのふたりがやがて同じステージに立つことになったわけですね。ふたりとも、もともとアイドルをしてた人ではないことが共通してますよね。みさこさんはバンド、あのちゃんは引きこもり、って言うとアレですが……。

あの:いや、その通りです。

みさこ:気になってた、どうしてゆるめるモ!に入ったの?

あの:すごいネットをやってたから応募の情報が回ってきて、学校も全然行ってなくて引きこもってるときに「このままだとダメだな」って思って。応募の項目に「音楽好きな人、逃げてる人」ってあって「楽勝じゃん!」って思って応募したんですけど、「面接に来てください」って連絡が来たら「やだな」って思っちゃって。自信がないし、外に出るの面倒くさいし、メールをシカトしてたんですけど、しつこく「ライヴだけでも見てください」って連絡が来て、面接とか何もしなかったんですけど「入ってほしい」と言われて。

みさこ:私も似たような気持ちで、歯医者の予約をよくすっぽかすんですけど(笑)。

あの:そのぐらい気持ちで応募したから。メール送るだけだし。

――みさこさんはバンドじゃないもん!の初期、2011年ごろ、アイドルと対バンするたびによく号泣してましたよね。

みさこ:うらやましかった。今は完全に吹っ切れたけど、一番思ったのは東京女子流さんを見たとき。今でこそDIYじゃないとダメだと思うし、それでこそいいものができると思ってるから売りにしてるけど、当時はよりすぐった完璧なメンツが、完璧な振り付けで、完璧な演出で、完璧なパフォーマンスをしてる感じがすごくうらやましくて。悔しかったし、でも本当に良かったし、感動と悔しい気持ちが全部混ざって、感情が一定値を超えて涙になった感じでした。

――あのちゃんはバンドじゃないもん!にどのぐらい興味持ってました?

あの:「ショコラ・ラブ」はYouTubeで見たんですけど……変態?

みさこ:変わり種みたいな曲しか作ってなかったから(笑)。

あの:でも変わってるの好きだから「面白いな」って思って見てました。「ショコラ・ラブ」と「パヒパヒ」。

――ふたりは実際にアイドルをやってみてどうでした?

みさこ:昔は可愛い子しかできないかなと思ってたけど、それじゃないものを求めてくれる人が多いんだな、ってすごく思います。頑張る姿を応援してくれるのかもしれないなと思うことがすごく多いです。

――それに応えられてると思いますか?

みさこ:自分から苦労してると言いたくないし、バンドじゃないもん!はそれを絶対やりたくない人たち(笑)。逆境を乗り越えることを言いたくない。それはゆるめるモ!も同じだと思うけど、よりポップにやりたいんです。「苦しんでる女の子」を出し過ぎても女の子が救われない感じがするし。

――アイドルをやってみた感想が、ヲタについての感想とかではなくて、「自分が何を求められてるか」っていう視点なのは、バンドを経験してるエンターテイナーの発想だな、って感じます。あのちゃんはアイドルをしてみてどうでした?

あの:アイドルとして求められるものがなかなかできない自分がいて。何年も経ってないことだからこれから乗り越えたいんですけど、あんまり枠にはまったりもしたくない。元から完成されてるものではなくて、頑張ってる姿も必要かなと思うので、頑張る、人に、なりたいと思います……(笑)。

みさこ:私は、つらいことがあってもまっすぐに生きてる人には共感できないんですよ(笑)。ゆるめるモ!の人たちは、絶対に曲がり道をしてるんだけど、上に向かっているところにキュンとします。そのぶん、ひねくれてるところも出てほしいけど、着実に上に進んでほしいなと思います。楽曲もストレートすぎず、ちょっとひねくれてるし。

あの:つらい面をあんまり出さないのとかも、すごく共感します。頑張ってるのも個人的には出し過ぎたくない、「余裕です」って顔をしたい。

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