K-POPアイドル発祥の“インカメミラーセルフィー”って? 現実とバーチャルの自分が共存する写真の妙

現実とバーチャルの自分が共存する写真とは

 いま、スマートフォンのインカメラを鏡に向けて撮影する「インカメミラーセルフィー」が韓国アイドルを中心に流行っている。実は若者の間で流行している鏡を利用した自撮りは構造が複雑化しているのだ。

 本稿では、「インカメミラーセルフィー」の撮影方法の変化を紹介しつつ、なぜ流行りの自撮り方法には韓国アイドル発祥のものが多いのかについて考えていく。

TWICE・ナヨンやLE SSERAFIM・サクラの投稿が話題となった「インカメミラーセルフィー」

 いま話題の「インカメミラーセルフィー」は、インカメラにした状態のスマートフォンを鏡に向けて撮影する撮影手法。

 TWICEのナヨンやLE SSERAFIMのサクラなど多くの人気韓国アイドルがInstagramに投稿したことで話題になった。

 撮影した写真は、鏡に映った自分と鏡越しのスマートフォンに映った自分が一枚の写真に収められる一見不思議な構造になる。

 
 
 
 
 
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 そんな「インカメミラーセルフィー」の面白いところは、スマートフォンの画面に映る鏡越しの自分も一緒に撮影する点だ。

 一般的な自撮りは「スマートフォンのインカメラで自分の顔を撮影する」というものだが、鏡に映った自分を撮影することでスマートフォンのカメラには収まりきらない範囲まで自撮りをすることができるのが「ミラーセルフィー」だ。

 そして「インカメミラーセルフィー」は、写真という平面上に自分の顔を映すだけではなく、鏡に反射したインカメラにスマートフォンの中の自分を映し出すことで写真に“奥行き”が生まれることが特徴だ。

 ある意味、写真が平面的でなく立体的な“空間”を強調するものに変化したともいえる、この撮影手法のブーム。

 筆者はこのミラーセルフィーの撮影方法の変化を、「鏡の中の自分」よりもスマートフォン上の「実質的なバーチャル空間」が強調されるようになってきた結果のひとつだと捉えている。

 日本バーチャルリアリティ協会では、バーチャルリアリティを「虚や仮想ではなく、本質的あるいは効果としては現実であり原物であること」と定義している。(引用:日本バーチャルリアリティ学会 » バーチャルリアリティとは (vrsj.org)

 この定義を踏まえると、ミラーセルフィーのようにスマートフォンに映し出されている自分の姿もバーチャル空間の自分だとする解釈もできるのではないだろうか。

 もうひとつ興味深い点は、ミラーセルフィーの「目線」だ。

 
 
 
 
 
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 これまでバズっていたミラーセルフィーはスマートフォン画面を直接見ながら撮影することがポイントであった。だが、「インカメミラーセルフィー」では鏡に向けられたインカメラのレンズに目線を向けて撮影することがポイントになっている。

 撮影時の「目線」の変化によりスマートフォンに映る自分を撮ることが重視され、意識がより現実からバーチャル空間へ向けられるようになったと感じる。

 スマートフォンに映る自分を撮影するという方法は鏡を用いたミラーセルフィーに限った話ではないが、若者たちはカメラの向こう側にいるもう一人の自分の存在に引き込まれているようにも思える。これはまるで、現実の自分よりもSNS上の自分の姿を重視する、いまの若者たちの象徴ともいえるだろう。

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