BTS・ジンやSEVENTEEN・ホシなどが本音をさらけ出す……  K-POPアイドルたちの飲酒動画はなぜバズる?

YouTubeチャンネル「つまらないものですが」人気の理由を紐解く

 韓国の女性ラッパーのイ・ヨンジ(以下、ヨンジ)がMCを務めるYouTubeチャンネル『차린건 쥐뿔도 없지만(訳:つまらないものですが)』が人気を博している。主な動画内容はMCヨンジの自宅にゲストを招き、お酒を飲みながら自由にトークするというもの。これまでに出演したゲストはBTS・ジンやBLACK PINK・ジスなど非常に豪華な面々だ。再生回数1000万回を超える回もあり、K-POPファンの中で大人気チャンネルとなっている。

 MCを務めるヨンジは韓国の人気女性ラッパーで、人気番組『高等ラッパー3』に出場し、女性初の優勝を収めたことで一躍有名になった。トークも上手く、ゲストとの軽快な掛け合いは爆笑必須だ。21歳とは思えないほどの貫禄があり、自由な言動で毎回ゲストを翻弄している。

 同チャンネルの投稿動画数はわずか31本。この本数でチャンネル登録者312万人(2023年7月2日時点)は驚異的な数字だ。なぜ、そんなキラーコンテンツとなり得たのか。今回はYouTubeチャンネル「차린건 쥐뿔도 없지만(訳:つまらないものですが)」の人気の要因を紐解いていく。

ステージ上の姿とのギャップ

 やはりK-POPアイドルから連想するイメージは、ステージ上で完璧なパフォーマンスをする姿ではないだろうか。ファンは練習生として歌やダンスを極めてきた背景を知っているからこそ、K-POPアイドルに対し、「洗練されている」「粗相がない」など完璧な印象を持ってしまいがちだ。自分と交わる世界線を想像できず、架空の存在なのではないかとすら思う場合もある。しかし、このチャンネルでは、そんなアイドルたちの普段見られないオフの一面を見ることができ、身近でリアルな存在として認識しやすくなる。

 たとえば、過去にゲストで登場したSEVENTEEN・ホシは、ヨンジとゲームをして焼酎をたくさん飲み、氷の袋を抱えながら「氷があるううう!」「氷が冷たい!」と、かなり酔っている様子だった。その姿はカリスマダンサーのホシのイメージとは正反対であり、普通の27歳となんら相違ない。加えて、事務所によってはメンバーがおこなうライブ配信でお酒が写り込むのを禁止することもあり、ここまで酔っぱらった姿を見られるのは、ファンにとってレアなのだ。このチャンネルは、ステージ上で完璧に歌やダンス、表情管理までこなすアイドルたちのギャップが見られる貴重な機会となっている。

本当の飲み会のようなラフな雰囲気

 まるで、ゲストとヨンジが本当に飲み会をしているかのようなラフさも人気の理由だ。というのも、この番組はMC・ヨンジの自宅で撮影が行われており、ヨンジがパジャマで出演することも多々ある。スタッフが時々見切れてしまうようなこぢんまりとしたワンルームからはアットホームな雰囲気が伝わってくる。また、テーブルにはチヂミやオデンなどの料理と韓国焼酎のソジュが並んでおり、まさしく韓国の飲み会といった雰囲気だ。そしてなんと、撮影中には「飲みゲー」まで始まってしまう。会話の中で英語を使ったら飲む、ルーレットを回して飲む……。ゲームで負け、ウイスキーやソジュなどの度数の高いお酒をどんどん飲むヨンジとゲストには毎回驚いてしまう。毎回ゲストを呼んでお酒を飲むという点で類似するチャンネル・番組として、「스튜디오 훜 : STUDIO HOOK」というYouTubeチャンネル内の番組「술트리트 파이터1,2(酒トリート・ファイター)」がある。このチャンネルでも、ゲストには(G)-IDLE、aespa、NCT・ドヨンなどかなり豪華なメンバーが揃っているが、平均の再生回数は約100万回前後と「つまらないものですが」と比較するとやや控えめな印象だ。このチャンネルが「つまらないものですが」と異なるのは、撮影場所がスタジオや居酒屋であるという点。やはり、「つまらないものですが」は、自宅での撮影によって視聴者の没入感をUPさせることで、他の飲酒コンテンツと差別化を可能にしているのではないだろうか。

MC・ヨンジの自由すぎる言動

 21歳と若いヨンジだがかなり肝が据わっており、ゲストになりふり構わず自由に振舞っているのが印象的だ。これまでの回で、ヨンジはさまざまな伝説を残している。返すのが大変なほど長文のメッセージを送るSEVENTEEN・ドギョムに対して「今日の収録後はメッセージを送らないと約束してください」と言ったり、無意識に紳士的な行動をして、人をドキドキさせてしまうSEVENTEEN・ジョシュアに対しては、「チョコミルクを開けてくれただけで、私のような人は孫の代まで想像する」と言い放ったりしている。

 上下関係や礼儀に厳しいといわれる韓国で、ここまでラフに年上の人と話すのは珍しいことだ。ヨンジはどうしてそれが可能なのだろうか。その理由には高校生のときに出場した『高等ラッパー3』での経験があるのかもしれない。大会で女性初の優勝を果たしたヨンジだが、ラップは6か月の独学で学んだのみ。大会序盤には高校に通うヨンジに対し、学校を中退した他の参加者たちが「お前はHIPHOPじゃない」と言い放つ場面もあったが、ヨンジはその言葉を跳ね返すかのように、バトルで圧巻のパフォーマンスを見せた。先天的な才能である「度胸」と後天的にラップバトルで培った「誰に対しても臆せず立ち向かう姿勢」が、年上のタレントとコミカルにやりとりできる理由であり、その強みが番組の人気につながっているのだろう。

不意に出るアイドルたちの本音

 「楽しい」だけでは終わらないのがこの番組の魅力でもあり、アイドルや歌手たちがヨンジに不意にこぼす葛藤や悩みといった“本音”には心を揺さぶられる。実際にTOMORROW X TOGETHERのリーダーであるチェ・スビンは出演した際、「デビューしてから、僕の性格は芸能人にふさわしくないかもって感じていた。僕は他のメンバーより輝いてなくて、他のメンバーに比べて存在感も薄いし、自分が目立つよりは皆と調和しているのが自分の役割だなって」「実力が足りないので自信が持てなかったし、まだ準備ができていないのでもっと練習したかったけどデビューが決まって……。リーダーというのも自分にとって大きなプレッシャーだった」と語っていた。それに対して、ヨンジが「よくやってるよ」と励ますと、スビンは「話を聞いてて涙が出そうだった。いままで気づかなかったけど、ヨンジが話したのが僕が聞きたかった言葉だったと感じた」「正直、僕がデビューしてから収録した番組の中で最も自分らしい本当の姿を見せた気がする」と答えていた。

 また、ゲストがメンバーに対する熱い思いを語ることも......。SEVENTEEN・ホシはK-POPグループが直面する“再契約”について言及し、「再契約の過程で感じたことだけど、みんな再契約をすると信じていた。でもグループってどれだけ親しくても再契約するのはとても難しいことなんです。メンバーたちは一生の友だちのようだよ。長い間交流して共感できる友だちのような感じ」と語っていた。また、所属するレーベルのプレディスに対しては「僕はプレディスが大好きなんです。僕たちが何でもない時から、たくさん応援してくださって......。僕は僕の会社が大好き」と涙をこぼす場面もあった。

 ここまで、YouTubeチャンネル「つまらないものですが」が人気を集める理由について紐解いてみた。人気の理由には、ゲストたちの心をときほぐすヨンジのコミュニケーション能力や等身大の人間としてのアイドルを見られる貴重さがあるのではないだろうか。今後はどんなゲストが本音を吐露し、ヨンジはどんな伝説を作り続けるのか、チャンネルの更新が楽しみで仕方がない。

人気回の紹介
ゲスト:BTS・ジン
「🚨속보🚨 방탄 진, 얼굴 자체가 진수성찬✨ 차쥐뿔 근본 잃어버려...👥 」
(🚨速報🚨防弾・ジン、顔自体がごちそう そもそも私はこれっぽちも持ってないよ…)

[SUB]🚨속보🚨 방탄 진, 얼굴 자체가 진수성찬✨ 차쥐뿔 근본 잃어버려...👥 [차린건 쥐뿔도 없지만] EP.13
 

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