意外とわかっていないテクノロジー用語解説
「NFTをゲームに活用する」ってどういうこと? 「NFTゲーム」の面白さと課題
NFTゲームは主に新興国を中心に普及が進んでいる。英比較サイト「finder.com」の調査によれば、NFTが最も普及しているのはインドで、P2Eをプレイしたことがある人は3割を超える。以降、香港(28%)、UAE(27%)、フィリピン(25%)と続く。一方、欧米では軒並み10%未満と、普及は進んでいない。ゲーム大国である日本は調査対象外だったが、おそらく3%にも満たないだろう。
先進国では以前にもRMT(Real Money Trade)が社会問題になった経緯や、純粋にゲームとして楽しむ目的ではない、投機的なゲームプレイを認めない風潮があり、NFTゲームはもちろん、ゲーム内広告ですら、ゲーマーやゲーム開発社からは反発を受けている。こうした背景から、ゲーム配信プラットフォーム最大手のSteamもNFTゲームの配信を認めていない。このほか、マネーロンダリングや詐欺の危険性、NFT・ブロックチェーンプラットフォームが大量の電力を消費することから、環境負荷への懸念も指摘されている。
NFTゲームにとって不利なのは、アイテムやゲーム内の土地取引といった要素が、必ずしもNFTでなければできない、というわけではない点だ。ゲームプレイを収入化することも、ゲーム配信などの手段を使えば、現時点でも可能だ。今の所収入化できるという点が魅力ではあるが、どうしても投機筋などが過剰に煽っているという不信感が拭えない。
とはいえ、先進国でもNFTゲームに対する注目は高まりつつある。Steamと並ぶゲーム配信プラットフォーマーであるEpic GamesはNFTゲームの配信を歓迎する旨の発言をしている。また、非ゲーム業界である米大リーグのMLBや米アメフトプロリーグのNFLは独自のNFTゲームをリリースすることを明らかにしている。日本のゲームメーカーでもスクウェア・エニックスやコナミ、セガといった大手メーカーらがNFTゲームへの取り組みを発表している。全てのゲームがNFTゲームになることはないが、一定の割合を占めることになるだろう。
NFTゲームが世に広く受け入れられるには、とにかくゲームそのものが魅力的で、遊んでみたいと思わせるものである必要があるだろう。そのためにはメジャータイトルのNFT化が望ましいシナリオの一つだが、前述したように既存ファン層からの反発も見込まれるため、メーカーとしては悩ましいところだろう。個人的にはゲーム本筋とは関係ない、スキンなどの形式でNFTアイテムが導入できるような仕組みであれば無理がなくていいと思うが、果たして市場はどのような形でNFTゲームを受け入れることになるのか、今後も注目したい。