ホロライブ・紫咲シオン卒業、3年ぶりの復帰、“生身”の解禁ーー変動が相次ぐVTuber業界

卒業、復帰、顔出し 変動相次ぐVTuber業界

卒業したVTuberが約3年ぶりの復帰 “リアル解禁”や、著名な踊り手のバーチャル化も

【ティザーPV/Teaser PV】白音ゆき/Shirane Yuki【Re:AcT】

 先週のVTuber業界はめずらしい事象が多く見られた。とくに驚かされたのは、VTuber事務所・Re:AcTより、卒業済みだったVTuber・白音ゆきが活動を復帰したことだ。3月8日にひさしぶりの配信をおこなうと、その勢いのまま24時間配信を実施し、華々しい復帰を飾った。

【初配信?復帰配信】みなさま~僕が帰ってきたよ~。 【 #白音ゆき復活 / #初配信 】

 彼女が活動を終了したのは2021年12月31日。そこから3年と3ヶ月が経過してからの復活。こうした例は、筆者もさすがに耳にしたことがない(先週話題になったキズナアイの復帰に関しては“スリープ”からの復帰であるため、卒業とはまた違う形だ)。かつて、にじさんじの笹木咲が卒業後の復帰を成し遂げたが、空白期間を大幅に塗り替える出来事となった。個人的には、こうした事例が増えてくれるのは、バーチャルタレントのライフスタイル拡充につながることから、大いに歓迎したい。

新斗和キセキ

 また、デビュー直後から話題に事欠かないPictoriaの斗和キセキはリアルの姿――演者本人の姿を解禁した。マスクで隠れた口元以外は、完全に開陳している。アバターを再現した衣装を着用しつつも、髪型はアバターと異なる金髪のロングと、なかなか割り切ったスタイルだ。この決断に至った理由は「心の健康」だそうで、推察ではあるが自身のやりたい活動の“足枷”を外した形だろうか。

 リアルの姿を解禁する流れは、直近のVTuber業界では着々と増えつつある。完全に明かした事例としては琴吹ゆめが挙げられるが、あちらは声優・飯塚麻結が演者だと明かしたケースでもあり、生身の姿もあくまで「斗和キセキ」とする今回のケースとは少し趣が異なる。いずれにせよ、厳密な定義に縛られるよりも、本人のありたい姿を貫く方が昨今のシーンにおいては幸せだろう。

【 #足太ぺんたV 3Dお披露目】夢の2次元ステージライブ!いっぱい踊ります! #3dお披露目 #綺羅星ぺんた

 他方では、リアルからやってきた人もいた。ニコニコ動画等で踊り手として活動してきた足太ぺんただ。綺羅星ぺんた名義で3月4日にバーチャルアバターを発表し、ダンスを次々に披露する3Dライブを実施した。

 ライブでは「アドリブで振りをつける」「コメントからサビ曲を踊る」といったチャレンジまで実施しており、その経歴と実力に恥じないお披露目ライブとなった。さらには3月14日開催のバーチャルアイドルフェス『Life Like a Live!9』への参戦まで発表しており、業界の新星としてその活動が期待されるところだ。

VTuberが講師のオンライン学習講座が登場 にじさんじ・周央サンゴは個人サイトを開設

 ここからは、少し変わった試みについても紹介していこう。

 個別指導塾運営の個別指導Witは、VTuberを講師に招いたオンラインコース「バーチャル学習塾Wish」を開校した。VTuberが講師となって、中学1〜3年の国語・数学・英語・理科・社会を学ぶことができる動画形式のオンライン講座とのことで、学術系の領域で活動するVTuberや、講師経験のあるVTuberが選抜されている。授業の動画はアーカイブとして残されるので、復習も容易とのことだ。

 また、本講座は年齢制限が設けられていないため、小学生が少し先の領域を学んだり、高校生やそれ以上の大人が学び直すこともOKとのことだ。「地域格差」と「高額なサービス価格」の2つの課題を解決すべく打ち出されたこの講座は、講師も相まって「バーチャルな学びの場」として機能しそうだ。またエンタメ以外のVTuberの活動領域としても、たしかな事例がひとつ生まれそうである。

 個人活動の一風変わった事例として、にじさんじ・周央サンゴが公式WEBサイトを開設したことも紹介したい。誕生日である3月6日に開設されたこのWEBサイトは、周央サンゴ本人が管理・運営するのが最大の特徴だ。間に合っていない箇所こそあれど、「大手事務所所属のバーチャルタレントの個人運営サイト」はなかなかユニークな事例だ。ちなみに、同WEBサイトは直近の投稿動画やお知らせのほか、本人が愛好するTRPGのキャラクターデータベースなどがメインのコンテンツになるようだ。

ホロライブ・紫咲シオンが卒業 RIOT MUSICの道明寺ここあも“複雑な事情”で活動終了へ

 ポジティブな展開や新たな試みが多数見られる一方、ホロライブでは2期生の紫咲シオンが3月6日に卒業を発表し、8日・9日にかけての『hololive SUPER EXPO 2025』とフェスを控えたファンの間に衝撃が走った。卒業配信は4月26日予定。今年1月に沙花叉クロヱが至った「配信活動終了」ではないため、節目の再登場もないものと推測される。2期生からは昨年、湊あくあが卒業しており、この世代から2人が姿を消すことになる。

 また、Brave GroupのRIOT MUSIC内レーベル・Blitz Wingからは、所属シンガーの道明寺ここあが活動終了に至ったことがアナウンスされた。2代目として活動が続いていた存在だったが、情報漏洩と事前承諾のない別名義の活動による契約違反と、心身の不調が重なり、無期限活動休止に至ったものの、その後も契約継続の意思が確認できなかったため活動終了に至ったと説明されている。かなり複雑な事情が折り重なった事案ではあるが、運営会社にしてみれば今後タレント管理の課題になりそうな部分だ。

 このほか、週明けにも事務所からの独立や、事務所所属をめぐるトラブルなど、進退などに関わる話題がにわかに飛び出している。新年度を控えたVTuber業界に、大きな変動が起きた一週間だった。

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