Uber Eatsや出前館に勝てるか? 参入相次ぐ海外フードデリバリー

海外フードデリバリーはUber Eatsや出前館に勝てるか

 この戦略を見ると、2強を脅かすまでには相当時間がかかるだろう。広範エリアで一気にサービスを開始する例はなく、シェア拡大はじっくり進めている印象。数年以内に起きるとすれば、限定的なエリアで2強以上の強さを見せる「ローカル特化型」の出現だろう。

 そもそも後発組が2強に勝るには、明確なサービスの優位性を示さなければならない。しかしそこまでの優位性は見つけにくい。そもそもフードデリバリーのビジネスモデルが、料理の配達代行というシンプルなもの。多くの業者が同じ手法をとっており、手数料もそこまでの差はない。差別化が難しい。

 真っ先に差別化するとしたら手数料削減か加盟店拡大になるが、前者は体力勝負となり、売上規模がまだ小さい後発組はリスクだろう。加盟店もUber Eatsと出前館には大きなリードがある。2強を出し抜くのは容易ではない。

 それでも、海外組が日本に上陸するメリットは大いにあるはずだ。未成熟だった日本のフードデリバリー市場に火がつき、今後マーケットは拡大する。エヌピーディー・ジャパンの「外食・中食調査レポート」を見ても、昨年4月以降の“出前”の売上は軒並み前年同月比を超えた。しかも、5〜6月の自粛期間だけでなく、自粛が緩和された8月も23%増、9月は44%増となった。

 このデータから、もしコロナが終息して外出の自由度が増しても、デリバリー需要は高まり続けると考えられる。海外のフードデリバリー事業者にとって、日本は願ってもない市場だろう。

 また、差別化がしにくいサービスは、一方で参入のしやすさを生む。高度なシステムや人員を用意する必要はない。別の国で培ったノウハウを転用すれば素早く開始できる。2強に迫るシェアをとれなくても、グローバルで見たグループ全体の売上アップに貢献できるだろう。

 それ以上に気になるのは、Uber Eatsと出前館の争いだ。出前館は全国各地の運送会社などに配達業務を委託する体制を進めており、この点はUber Eatsと大きく異なる。ただ、配達の差だけで争いに決着がつくとは思えない。

 決め手として考えられるのは、食以外の配達も担う、あるいは別領域のサービスにフードデリバリー機能が接続されるなどの展開だろう。その意味で、出前館がLINEと資本提携している点は大きい。逆に、Uber Eatsも別種のサービスとの接続や連携があれば面白そうだ。フードデリバリー市場は、領域を超えた複合的なサービス展開がカギになっている。

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