Uberの描く未来は「パンデミック下で活躍する配達ロボット」?
パンデミックの中、外出制限の続く欧米諸国では外出代わりにレストランからのデリバリーを可能にする宅配サービスの需要が急増しており、宅配サービス業界全般の大きな転換点となっている。
Uber Eatsやその他の宅配サービスは急成長を遂げており、新しい宅配サービスの形を模索するスタートアップや既存のサービスに、新しい選択肢を加える企業が増加。業界大手のUberは、昨年中旬に非対面の配達サービスUber Connectを発表した。これは、新型コロナの影響で配車サービスの利用者が劇的に減少したことから、人の代わりに荷物を運ぶという名目でこのサービスを立ち上げ、現在は25都市で展開されている。
昨年末にUberに買収されたアメリカ全土を中心に展開している配達サービスPostmatesは、新しい自動ロボット配達サービスをスタートアップとして発表する予定だ。Postmatesは昨年7月にUberに265億ドルで買収されているが、その条件は「会社経営については、それぞれの方針を保つ」というものだった。今回の新しいスタートアップは、Postmatesが2017年に買収したロボットスタートアップLox Inc.と共に共同開発に取り組んでいた自動ロボット配達サービスの最終形であり、Postmates X下で運営され、Serve Roboticsというプロジェクト名で認知されている。
PostmatesのUber買収は競合削減のため?
アメリカ全土で利用されているPostmatesは、2011年にサンフランシスコで設立された配達サービスだ。創設者たちの「ホットドッグを配達して欲しいがホットドッグ配達サービスが存在しない」という不満から考案された今サービスは、現在アメリカ4200都市で展開されている。Uber Eatsと同様に出前/ご飯配達サービスとして機能しているPostmatesだが、顧客が小規模〜中規模飲食店から人気があることや、食事以外にもアルコール、電子機器から日用品まで様々な品物の宅配も行なっている点で、Uberにはない強みを持つ。
今回の買収の一番の要点として挙げられるのは、今まで以上に幅広い顧客たちの声をビジネスに反映させていけるという点だろう。大規模な飲食チェーンと小規模の個人経営の店舗とでは、店の回転環境や人数に違いがあるため、それぞれの強みと課題を理解できる共同経営は、サービスを向上していく上でも欠かせない。
また、Uber側にとっては事業分散化により損失を食い止めるための戦略とも言われている。Uberはこの買収を通して、自身の大規模なドライバーネットワークを最大限に利用し、Postmatesの小規模ビジネスとの提携を活用していく方針のようだ。