任天堂は「新ハード投入」と「中国市場進出」でStadiaに対抗する?

任天堂はStadiaにどう対抗?

ゲーム機市場の鬼門である中国

 新ハード投入のほかにStadia対抗策と考えられるのが、Nintendo Switchの中国市場進出である。20日に公開されたEngadget日本版の記事によると、中国インターネットサービス最大手のテンセントが同国のゲーム規制当局に申請していた(Switch用ソフトの)「New スーパーマリオブラザーズ U デラックス」の販売が承認された、と経済誌ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は報じた。この報道によって、言わば間接的にSwitchをめぐるテンセントと任天堂の提携が明らかになった。ゲームメディア『Social Game Info』は、提携が報じられた後に任天堂の株価を急騰したことを報じている。

 ゲーム市場の調査を専門とするNewzooによると、テンセントは2018年においてゲーム配信等から得たゲーム収益が世界1位であり、6年連続で1位の地位を守っている(下のグラフ参照)。こうした企業と提携できたことは、一見すると任天堂にとって大きな追い風となっているように見える。しかし、中国ゲーム市場を占めているのはスマホゲームとPCゲームであるという事実が、同社進出をはばむ壁となって立ちはだかる。PS4とXbox Oneは2014年からこの壁に挑み始めたものも、同市場のゲーム機のシェアはわずか3%未満に留まっている。それゆえ、同社が短期間で中国市場進出による利益を上げることはないだろう、と見るアナリストもいる。

画像出典:Newzoo「Top 25 Public Game Companies Earned More than $100 Billion in 2018」

 任天堂はStadiaに対して「新ハードの投入」と「中国市場進出」というふたつのカードをきった。これらのカードに対して、GoogleはStadiaの「月額料金」と「配信コンテンツ」というカードをきってくる。Nintendo SwitchとStadiaの対決は、いずれ明らかになるGoogleのカードがその行方を握っているだろう。

トップ画像出典:Nintendo Switch公式サイトとStadia開発者ブログ記事よりそれぞれのロゴを引用

■吉本幸記
テクノロジー系記事を執筆するフリーライター。VR/AR、AI関連の記事の執筆経験があるほか、テック系企業の動向を考察する記事も執筆している。Twitter:@kohkiyoshi

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