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「ロックは死んだのさ」——この言葉を残しセックス・ピストルズを去ったジョニー・ロットンが、ジョン・ライドンとして生まれ変わり、新たに呈示した音楽のスタイル、それがパプリック・イメージ・リミテッドだ。
かつてクラッシュに在籍していたキース・レヴィン(g)、ピストルズのとりまきであったジャー・ウーブル(b)や、ジム・ウォーカー(dr)と共に結成、79年に問題作『パプリック・イメージ』でデビューを飾る。神経質で金属的な音色のフリーキーなギターが、ダブを基調とした陰鬱でぶ厚いグルーヴの上を交錯、魂の底から叫ぶような鬼気せまるヴォーカルが青白い炎のごとく絡みつく。ロットンが背負ってきたロック・スターという"パプリック・イメージ"を葬り去ろうとする、暗く歪んだサウンドは全てのパンク・ファンを裏切り、ロックという既成概念をメタメタに切り裂いた。
その後80年にはドラムがマーティン・アトキンスに交代し、メタリックで硬質なビートを前面に押し出した傑作『メタル・ボックス』を発表。また81年には、当時としては斬新な試みともいえるパーカッション主体の、アフリカン・リズムを取り入れた原始宗教的な作品『フラワーズ・オブ・ロマンス』を完成させた。
以降、名うてのミュージシャンをバックに手を変え品を変えサウンドを変貌させ、作品をリリースしつづけたが、結局主軸となる部分を見失なったバンドと、斬新なアイディアの枯れ果てたライドンは共に失速。——かつてツバを吐きかけたロック・スターという地位から本当に見放されてしまう。