カニエ・ウエスト、Gang Starr、ダベイビー……ヒップホップシーンをさらにかき回すアルバム5選
・Kanye West『Jesus Is King』 ・Gang Starr『One Of The Best Yet』 …
MCのグールーとスーパー・プロデューサーのDJプレミアから成るギャング・スターは、ストリート・シーンにもっとも大きな影響を与えたラップ・グループだ。
1stアルバム『ノー・モア・ミスター・ナイス・ガイ』を89年に発表して以来、03年の『ジ・オウナーズ』まで、ヒップホップをこよなく愛する人々の期待を大いに満足させる作品を生み続けている。またギャング・スターはジャズをラップに取り入れた初めてのグループであり、何年にもわたって自身のスタイルに磨きをかけ、オリジナリティを保っている。トレ−ドマークであるフラットなラップは、グールーの口からジューシーな肉汁のように澱みなく溢れ出てきて、その知的で洗練されたリリックは聴き手の知性を強く刺激する。
そしてDJプレミアはおそらくヒップホップ界随一のトラック・メイカーだろう。ピアノ・ループ、刺激的なフックのスクラッチ、絶妙なサンプル・チョップとヘヴィなドラム・ビートなどを特徴とする、丹精込めて作られたトラックからはプレミアの職人魂が伝わってくる。
ギャング・スターはジェルー・ザ・ダマジャやグループ・ホーム、アフ・ラといったアーティストたちの活動にも手を貸してきた。グールーは93年、95年とジャズマタズ・プロジェクトの先鋒として活躍し、その間DJプレミアはビギー、ナズ、ラキムといったヘヴィ・ヒッターズのプロデュースを手がけた。99年に発表した4枚組のベスト・アルバム『フル・クリップ:ア・ディケイド・オブ・ギャング・スター』には傑作曲が数多くフィーチャーされている。——とにかく、ギャング・スターは首尾一貫して上質のヒップホップを創り続けている稀有なアーティスト・ティームなのである。
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