森田童子の記事一覧

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風前の灯のようなか細い歌声に、厭世観を抱かせる刹那的な歌詞。しかし、そこには傷つきやすい魂の持ち主だけが表出でき得る、清廉かつ透明感に満ちた世界が広がる。——数年前、ドラマの主題歌に使われ話題になった「ぼくたちの失敗」は、バブル崩壊後の空漠とした世相と妙にマッチしていた。それは、学生運動の終焉が告げられた70年代中盤に、この曲が歌われたことと見事なまでにリンクしている。きっと彼女の歌は、喪失感が世の中を覆っている時代にこそ、輝き始めるのではないだろうか?
75年のデビューから83年の引退まで、たった8年間という短い間に鮮烈なる印象を残した森田童子。その正体は今もって謎のままだ。