北島三郎の記事一覧

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近年、演歌CD/カセットの売上げが著しく低迷しているとのこと。しかし、日本人はもんの凄く演歌が好きであるという事実は紛れもない。それは、NHK放送研究所による『好きなタレント・ベスト50』が如実に物語っている。例えば00年度、前川清、都はるみ、島倉千代子、川中美幸、坂本冬美、天道よしみ、森進一、五木ひろし……と数多くの演歌歌手が名を連ねている。そして、“演歌界の巨星”北島三郎先生は、Kinki Kidsや中居正広など並みいる強豪を抑え、見事99年度2位、00年度9位(演歌界では最高位)と高記録をマークしたのだ。
確かに、そのドメスティックかつ旧来的な臭いに多くの若者は拒否反応を示すかもしれない。しかし、おとこ/おんな/港/酒場/兄弟/おっかさん/出稼ぎ/労働者……などをモチーフに日本的普遍性を突き詰めた詞世界と、民謡を独自に発展させた歌唱法は言うまでもなく素晴らしいもの。すなわち演歌とは長い歴史が産み落とした至高の大衆文化といえよう。21世紀高齢化社会にっぽんのマジョリティは老人であることを考えると、日本人といえばユーロビートやハードロックでは決してなく、やはり演歌なのだ。そして北島三郎とはその象徴的存在である。自然一体型のストイックな男世界を歌わせたら、右に出るものは間違いなく存在しない。