フリッパーズ・ギター『CAMERA TALK』から30年 日本の音楽シーンに影響与えた再構築の手法
1990年6月6日、フリッパーズ・ギターの2作目のフルアルバム『CAMERA TALK』がリリースされた。同時代の海外…
小沢健二(g&vo)と小山田圭吾(vo&g、現コーネリアス)から成る至高の音楽集団フリッパーズ・ギターが存在しなかったら、日本の音楽シーンはどうなっていたんだろう。——考えるだけで恐ろしい。彼らの登場は本当の意味で日本のオルタナティヴ・シーンの幕開けであったといえるだろう。
89年、全編英語詞による直球ネオアコ・アルバム『スリー・チェアーズ・フォー・アワ・サイド〜海に行くつもりじゃなかった』でデビューを飾る。そして、強烈な独自性を発揮したのが90年発表の2nd『カメラ・トーク』だ。小沢による、スノビズム/ニヒリズム/シニシズム/狂気/焦燥感/やりきれなさ——がもたらす「若さ故の心風景」をズバリ切り取った詞世界と、甘酸っぱい珠玉のメロディがガッチリかみ合い、切なくも美しいフリッパーズ・オンリーな世界を構築した名盤中の名盤である。
その後、スタイリッシュな佇まい&言動も手伝い、じわじわと熱狂的な支持を獲得していったフリッパーズ・ギター。91年には、モンキーズ主演のカルト・ムービーの名を冠した、最高傑作と名高い3rdアルバム『ヘッド博士の世界塔』をリリースする。ネオ・アコ/シューゲイザー/マンチェ・ロック/ギター・ポップ/ソフト・ロック/フリー・ソウルなど「彼らがこよなく愛した音楽」のいわゆる「美味しい部分」をサンプリング的な手法で反映した、最高にカッコいいサウンドは、日本のロックの在り方を根本から覆すほど衝撃的であった。91年に解散。
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