Prime Videoが見据える日本発コンテンツの未来 投資2倍以上と新作9作品の背景

Prime Videoの日本発コンテンツの未来

AmazonならではのIP展開と多様なジャンルへの投資

大石圭介氏

――日本アニメの戦略についてお聞きします。アニメはAmazonのグローバル戦略の中でどのような位置づけですか? アニメは映像だけでなく、原作本やグッズの販売も期待できるもので、特に巨大なECサービスを持つAmazonとして、どのようにアニメのエコシステムを構築するのか、お伺いします。

大石圭介(以下、大石):おっしゃる通り、アニメファンは配信で作品を視聴するだけでなく、原作マンガを読んだり、グッズを買ったりするなど、一つの作品を様々な方法で楽しんでいます。そうしたファンの方々にどんなベネフィットを提供できるか、日々考えて取り組んでいます。わかりやすい事例は、『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』です。配信ページ上にプラモデル発売のアナウンスと、購入のタッチポイントを設けました。そのときの反応が非常によく、多くの方にプラモデルを買っていただけました。こうした施策はパートナーやパブリッシャーの皆様にもベネフィットを感じていただけると思います。さらに、日本だけでなく、海外のファンにも同じような体験を提供していくことが我々の目標です。

――日本コンテンツへの投資額を2年で2倍以上に増やすということですが、それはアニメだけでなく、実写や恋愛リアリティなど多岐にわたるカテゴリに投資されるということでしょうか?

ケリー・デイ(以下、デイ):日本には多くのPrime会員がおり、多様な視聴者に応えるためには、セレクションも多様にする必要があります。発表会で9つのオリジナルコンテンツを発表した通り、ほぼすべてのカテゴリで事業を拡大するつもりです。実写、アニメ、恋愛リアリティ、そしてスポーツや音楽といった充実したコンテンツをお届けし、より幅広い視聴者に訴求できるようにしていくつもりです。

大石:ドラマや映画、アニメのみならず、スポーツにもこれまで力を入れてきました。ボクシングの配信はすでに15回を数え、9月には16回目の配信が控えています。ボクシングは3カ月に一度くらいの開催頻度ですが、毎日のように観たいスポーツファンのために、昨秋からMLBの配信を始めて50試合を配信しました。さらに、今年はMLBの試合を350試合に増やしています。冬にはNBAがあり、ファーストシーズンは多くの方に観ていただけました。スポーツについては、今後も大きな投資を続けていくつもりです。

劇場と配信は共生できる

――Amazonの劇場戦略はどのようなスタンスでしょうか?

デイ:数年前、私たちはMGMスタジオを買収しました。それ以来、Amazonが映画戦略の中核に劇場公開を据えていることを、明確に示してきたと思います。2025年のシネマコンでは、年間14〜16本の映画を映画館で公開する計画を発表し、世界中の劇場に配給できるよう、チームを構築しています。伝統的なウィンドウ期間を設けて、Prime Videoでの配信を始める形をとる作品もあれば、実験的により早いタイミングで配信を始める作品もあります。すべての映画が劇場公開される必要はないかもしれませんし、実際にPrime Videoの配信パイプラインに大きな投資をしていることも確かです。しかし、私たちは劇場体験を重視しています。人々は多くの観客とともに映画を楽しむことを愛しているからです。映画館にはまだ大きな役割があると信じていますから、引き続き映画館へコミットしていくつもりです。

ガンジー:我々が生み出したIPを配信で広げて、劇場に展開するという事例もあります。インドにおいて、我々はオリジナルシリーズ『ミルザープル 〜抗争の街〜』という作品を3シリーズにわたって配信してきました。そしてついに今年、劇場版を公開します。日本では『沈黙の艦隊』が良い例でしょう。

大石:『沈黙の艦隊』は、まず2023年9月に映画を公開し、その後、ドラマ『沈黙の艦隊 シーズン1 ~東京湾大海戦~』を2024年2月に配信。その続編となる劇場版第2作『沈黙の艦隊 北極海大海戦』を2025年9月に公開しました。未公開シーンを追加した特別版を2026年3月に配信し、シーズン3を2027年夏に独占配信することが決定しています。映画から配信、配信から映画へと相乗効果を生み出し、ファンベースを拡大できた事例と言えます。『北極海大海戦』公開前には、シーズン1特別編終版のテレビ放送も行いました。また、『【推しの子】』もドラマの配信から始めて、劇場公開につなげる試みを行いました。劇場と配信を組み合わせた、フレキシブルな戦略をパートナーとともに考えています。我々は配信と劇場が敵対関係にあるとは考えていません。共生して大きなインパクトを作れる関係にあると思っています。

――映画については、Amazon MGMスタジオは『ルックバック』では製作委員会にも加わっていますね。Amazonのような企業が製作委員会に参加するのは珍しいと思うのですが、どんな意図があったのですか?

大石:確かに、我々は基本的にライセンサーから権利を購入する形で作品に関わることが多いです。しかし、企画の最初の段階からクリエイターと一緒に製作のお手伝いをしていくことの重要性もずっと議論していたんです。『ルックバック』で委員会に参加し、作品を生み出すことに関われたことには、手応えを感じています。『ルックバック』は本当に素晴らしい作品になったと思います。我々としては、その作品にとって一番いい形で貢献したいと考えていますし、こうした企画の上流からのコミットを今後も増やしていきたいと考えています。

――日本のIPに投資をする場合、製作委員会への参加は有力な方法の一つというご認識ですか?

大石:それもありますが、我々が真剣に日本の作品にコミットする姿勢を示すことが重要だといつも考えています。製作委員会に参加することは、その姿勢を示す意味でも重要だと思ったというのもあります。今後もさまざまな形で日本のコンテンツを盛り上げるためにコミットしていきたいと考えています。

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