高橋文哉が『Tシャツが乾くまで』で更新した俳優像 “愛されキャラ”を覆す毒気ある魅力

「不倫されたからって八つ当たりすんなよ」
高橋文哉の口から発せられたその言葉にどきっとした。金曜ドラマ『Tシャツが乾くまで』(TBS系)において、彼が演じる矢野直人という青年は、私たちがこれまで抱いていた「高橋文哉」のイメージを、静かに塗り替えようとしている。

直人は、主人公・瀬尾咲子(蒼井優)の夫・充(松山ケンイチ)が店主を務める喫茶店「ひこうき」の従業員だ。充がバス事故で行方不明になった後も一人で店を切り盛りしている。一見すると社交的な青年に見えるが、その内面には、どこか冷めたような複雑な屈折と影を潜ませている。
まだはっきりとは描かれていないものの、物語の中には、咲子に密かな思いを寄せていそうな描写が端々に散りばめられている。冒頭の刺すようなセリフも、バス事故で妻を亡くした園田樹生(中島歩)に「既婚者に片思いこじらせてるからって八つ当たりすんなよ」と言われ、反撃に出た一言だった。これまで彼が見せてきた愛らしい笑顔や健気な表情とは一線を画す、生々しさを纏った言葉に、思わずハッとした視聴者も多いのではないだろうか。
『SAKAMOTO DAYS』は高橋文哉なくして成立しない 観客を導く“狂言回し”としての俳優力
高橋文哉は『SAKAMOTO DAYS』でコメディとアクションを自在に行き来し、観客を作品世界に誘う“案内役”として物語の起点を…高橋文哉といえば、映画『SAKAMOTO DAYS』で演じた朝倉シン役の好演が記憶に新しい。シンは、伝説の殺し屋・坂本太郎(目黒蓮)の元相棒であり、人の心が読める「エスパー」という特異な能力を持つ青年だ。ビジュアルの完成度もさることながら、シンの再現度の高さには正直驚かされた。まるでアニメーションからそのまま飛び出してきたかのような躍動感で、画面狭しと駆け回る。
アクションパートでダイナミックな立ち回りを見せたかと思えば、ドラマパートでは「人の心が読める」ことで周囲から気味悪がられてきた孤独な過去を繊細に表現。その鮮やかな落差と生き生きとした芝居で物語を力強く牽引した。高橋は8月7日公開の人気サッカー漫画の実写映画『ブルーロック』でも主人公を演じている。アニメや漫画の実写化における彼の存在感は増すばかりだ。
彼がこれまで出演してきた実写化作品に共通しているのは、その「ひたむきさ」だ。過去に出演した『フェルマーの料理』(TBS系)では料理の世界に身を投じることになった天才少年を、『伝説の頭 翔』(テレビ朝日系)ではカリスマヤンキーと気弱ないじめられっ子の2役を演じ分けた。




















