【今夜放送】『トイ・ストーリー4』は“新フェーズ”? ウッディの自立が『5』に及ぼす影響

『トイ・ストーリー4』が『5』に及ぼす影響

 9年という歳月が映画の中でも、そして映画を観る人の間でも進んでいることを忘れてはいけない。世代がひとつ回るくらいの時間があればいろいろと変わる。だからアクティブになっても構わないが、驚くのは誰かのものになって喜んでもらうというおもちゃの存在意義から脱却して、野良という立場を受け入れていた点だ。

 『トイ・ストーリー』というシリーズで繰り返し描かれてきた真理ともいえる考え方がどうして変わってしまったのか。どのような段階を踏んで、ボーはそうした境地にたどり着いたのか。それを確かめる意味でも『トイ・ストーリー4』は見逃せない。

 決して大切なテーマをひっくり返そうとしたわけではないことは、ウッディが忍び込んだアンティークショップに置かれていた、ギャビー・ギャビーという少女の人形にまつわるエピソードを観れば分かる。ウッディのように背中のひもを引っ張っても、ボイスボックスが故障しているのか声がうまく再生されないギャビー・ギャビーは、そのことが自分を誰もらってくれない原因だと思い込んでいる。

 だから、ウッディの背中にあるボイスボックスを奪って声を出せるようにしようと画策する。そこまでして誰かのものでありたいと願うおもちゃの気持ちは、ダッキーとバニーというキャンプ場近くの屋台につるされていた景品のぬいぐるみを通しても示されて、子供たちのおもちゃを大切にしなければといった気持ちを育む。

 とはいえ、いつかおもちゃは子供たちの手を離れていく。壊れてどこかにいってしまうこともある。そうなっても、おもちゃはおもちゃとして幸せを探そうとしているのかもしれない。その一例として、ボーのような自由な生き方があるということを、描こうとしたのかもしれない。

 フォーキーがネガティブさを改め、素敵なパートナーまで得た一方で、シリーズを通して主役を張ってきたウッディの道が、バズやジェシーと隔たってしまった『トイ・ストーリー4』のラストは、おもちゃにもいろいろな道があるのだということを表す、開かれたエンディングとして機能した。とはいえ、やはり気になるその先の様子が、最新作の『トイ・ストーリー5』で描かれる。

 予告編では、ボニーの家に乗り込んできたウッディが登場するが、ここで触れておくなら、最新作でウッディはおそらく主役とは言えない立場にある。それでは誰が主役なのか。カウガール人形のジェシーだ。

 ボニーの家に残って遊んでもらっているジェシーだったが、うまく友達を作れないボニーのために両親が子供用のタブレットを買って与え、チャットルームで誰かとコミュニケーションをとれるようにした。このことで、自分の立場がタブレットに奪われるのではないかとジェシーは不安がる。長く倉庫にしまわれていた過去も蘇って焦ったのだろう。ジェシーはネット越しでは本当の友達なんて作れないという理由をつけて、タブレットのリリーパッドをボニーから遠ざけつつ、ボニーに友達を見つけてあげようとする。

 そんなジェシーが、時に自分のほうを向いてもらいたいだけの自意識過剰でプライドの高い存在に見えてしまうところもある。『トイ・ストーリー4』までのウッディのように。ただ、チャットで会話しオンライン上でゲームをして楽しむだけでは、深い繋がりは得られないと思う人がいるのも事実だ。リリーパッドは果たしてジェシーたちおもちゃの敵なのか。ボニーが本当に願っていることにジェシーたちは答えられるのか。ジェシーはウッディのような境地に至れるのか。そうしたことを確かめる意味でも、『トイ・ストーリー4』と『トイ・ストーリー5』は併せて観てほしい。

 『トイ・ストーリー4』でウッディが手にした幸せが、バズにも訪れるのかといった疑問に答えてくれているという点でも。

■放送情報
『トイ・ストーリー4』
日本テレビ系『金曜ロードショー』にて、7月3日(金)21:00〜22:59放送
※本編ノーカット ※放送枠5分拡大
監督:ジョシュ・クーリー
脚本:ステファニー・フォルソム
脚本・製作総指揮:アンドリュー・スタントン
製作:ジョナス・リヴェラ、マーク・ニールセン
製作総指揮:リー・アンクリッチ、ピート・ドクター
音楽:ランディ・ニューマン
吹替版キャスト:唐沢寿明(ウッディ)、所ジョージ(バズ)、戸田恵子(ボー・ピープ)、竜星涼(フォーキー)、森川智之(デューク・カブーン)、松尾駿/チョコレートプラネット(ダッキー)、長田庄平/チョコレートプラネット(バニー)、新木優子(ギャビー・ギャビー)、竹内順子(ギグル・マクディンプルズ)、日下由美(ジェシー)、三ツ矢雄二(レックス)、咲野俊介(ハム)
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