『放課後カルテ』から朝ドラの到達点へ 子役・英茉が『風、薫る』で表現する環の“揺らぎ”

英茉が『風、薫る』で表現する環の“揺らぎ”

 りん(見上愛)の病院実習終了と安(早坂美海)の縁談が同時に描かれているNHK連続テレビ小説『風、薫る』第12週。安の縁談を通して、一ノ瀬家の事情へと視点が移っていく。

 スポットが当たるのが、環(英茉)だ。幼いながらに母であるりんと離れ、美津(水野美紀)と安との暮らしを受け入れ、まっすぐに育ってきた環の揺らぎがはじめて描かれるようだ。

 そんな成長しつつある環を演じるのが、宮島るかからバトンを受け取り、第5週から出演している英茉だ。英茉は2022年の『悪女(わる)〜働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?〜』(日本テレビ系)でドラマデビューを果たし、同年には『鎌倉殿の13人』(NHK総合)に北条義時の妹役として出演した。以降、映画『劇場版 君と世界が終わる日に FINAL』のミライ役や『団地のふたり』(NHK総合)の空ちゃん役など、印象的な役柄で爪痕を残してきた。

 そして、特筆したいのが『放課後カルテ』(日本テレビ系)で演じた外崎真愛役だ。真愛は場面緘黙症を持つ小学1年生の女の子。家庭では普通に話せるのに、学校などの社会的な場面では、声が出なくなってしまう症状だ。英茉は、家と学校で見せる表情の違い、さらに真愛が心の中でキャラクターと会話する場面と、3つのリアクションを演じ分けながら、真愛という1人の少女の胸の内を真摯に表現していた。

 英茉が演じた心の中で葛藤する場面と主人公・牧野(松下洸平)や担任・芳野(ホラン千秋)に見せる無表情とのギャップからは、真愛の苦しさが痛いほど伝わってきた。

 そんな真愛が、ほんの少しずつ牧野や同級生の未沙(沢田優乃)にリアクションを返す姿や、音楽会で手をあげられた瞬間には、言いようのない感動があった。あの幼さで、ドラマ1話分の中心となるエピソードを背負えること、役柄の二面性をきっちりと見せられることから、これからの成長に期待を寄せた人が多かったのではないだろうか。

 2026年には、朝ドラだけではなく『ほどなく、お別れです』や『君が最後に遺した歌』など映画でも活躍。成長とともに、これまでよりもさらに重要な役柄を任されることが増えている。

 朝ドラへの出演は、子役にとっても1つの到達点だ。英茉をこれから“りんの娘の環ちゃん”と認識する人も増えるだろう。

 真愛役で見せたように、心情を吐露する姿に、人の心を動かす力のある英茉。どんな芝居で、環の心情を見せてくれるのだろうか。また、環の反応を通して、りんと安の心情、一ノ瀬家の状態はどのように変化していくのか。

 もうすぐ折り返しに差し掛かる『風、薫る』が今後、家庭と女性の人生をどんな切り口で描くのか楽しみだ。

■放送情報
2026年度前期 NHK連続テレビ小説『風、薫る』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:見上愛、上坂樹里
脚本:吉澤智子
原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』
制作統括:松園武大
プロデューサー:川口俊介
演出:佐々木善春、橋本万葉ほか
写真提供=NHK

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