『風、薫る』『虎に翼』『ブギウギ』 朝ドラはなぜ“シンママ×一人娘”を描き続ける?

朝ドラはなぜ“シンママと一人娘”を描く?

 NHK連続テレビ小説『風、薫る』の第12週「旅立ち」では、りん(見上愛)や直美(上坂樹里)たち看護婦見習生の卒業が近づき、周囲が慌ただしくなってくる。りんが看護婦養成所の寮で学んでいる間、一人娘の環(英茉)はりんの母・美津(水野美紀)と妹の安(早坂美海)が面倒を見ていた。おとなしいけれど、人懐っこい環のかわいらしさは癒し効果があるだけでなく、存在感も抜群だ。

 寮の規則で日曜日にしか環に会えなくても、安が家事だけでなく環と遊んだり世話をしてくれているので、りんは仕事に集中できる。そうやって自分を支えてくれる家族のためにも頑張ろうという意識が強くなる。

 仕事をする母と一人娘といえば『虎に翼』(2024年前期放送)の寅子(伊藤沙莉)と娘の優未の関係もその時代、状況によってかたちを変え、仕事に邁進する母とその背中を見て育つ娘の葛藤が描かれた。

 第16週からの新潟編では、寅子は新潟地方・家庭裁判所三条支部に着任。寅子にとって女学校からの親友で、義理の姉である花江(森田望智)が仕事中心の生活を送る寅子を支え、家事を引き受けてくれていたことは大きい。

 『風、薫る』では、新たな仕事への意欲に燃えるりんを妹の安が家事や育児の面で支えたように、寅子には花江の温かいサポートに支えられ、幼い優未と戦後の混乱の中を生きてきたのだった。物語にはそれぞれ主人公のモデルとなった女性の生き方があり、りんのモデルの大関和は実際には若くして嫁いだときに、一男一女の母となった。その後、離婚した際に長男は夫側が育てることになり、娘だけ引き取ることができた経緯がある。

 『虎に翼』の寅子のモデルとなった三淵嘉子は娘ではなく、一人息子を育てた。朝ドラはドキュメンタリーではないので、モデルの人生をそのまま再現するのではなく、現代を生きる女性に通じる悩みや葛藤、希望や絶望などを物語として表現している。

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