『ALIUS』最終話にまだ間に合う! “キーパーソン”神崎透流を演じる中川大志の圧巻の存在感

『ALIUS』キーパーソン・中川大志の存在感

 またここにひとつ、俳優たちの力演に魅せられる作品が誕生した。佐々木蔵之介が主演を務め、中川大志、恒松祐里らと共闘する、連続ドラマW-30『ALIUS -特定事象捜査ファイル-』(WOWOW)である。

「ALIUS -特定事象捜査ファイル-」2026年7月19日(日) 放送・配信!本予告【WOWOW】

 本作は、WOWOWで放送・配信中のオリジナルドラマだ。地下駐車場で凄惨な他殺体が発見されたことを皮切りに、連続殺人事件が勃発――。これを追う刑事の佐野省吾(佐々木蔵之介)は、やがて捜査線上に浮上する「ALIUS」と称される謎の存在に翻弄されていくこととなる。ジャンルとしてはSFの要素も持ったクライムサスペンスであり、シリアスで、スリリングで、そして、エモーショナルな人間ドラマが繰り広げられる作品である。

 ここでは、このドラマがどのように観る者を魅了する作品なのかを綴っていこうと思う。とくに光を当てたいのは、この物語のキーパーソンとなる中川大志の存在だ。ネタバレを含んでしまうため、これから鑑賞の方はご注意いただきたい。

※以下、『ALIUS -特定事象捜査ファイル-』第5話までのネタバレを含みます。

濃密な世界観を支える巧みな脚本

 ではさっそくだが、タイトルにもなっている「ALIUS」とは、いったい何なのか――。

 本作の第1話は、佐野の相棒である羽住杏奈(恒松祐里)の語りからはじまった。もしも、いまこうして社会生活を送っている私たちサピエンスを凌駕し、脅威となる人類が現れた場合、彼らとどう向き合うべきか。彼女はそう語りかけてきた。共存の道を探すべきか、それとも排除に向かうべきなのか。何者かによる地下駐車場での殺人事件の様子とともに、である。

 この「ALIUS」とは、遺伝子の突然変異により特殊な力を獲得した存在だ。見た目は私たちと何ら変わらないが、“別の人類”なのだという。声帯から発する特殊な音波によって、人間を意のままに操ることができるのだ。この力を使えば、国家を揺るがすようなテロだって不可能じゃない。だから「ALIUS」を“国家のリスク”だとして公安が動き、さまざまなアプローチで彼らとの接触、そして保護を試みてきた。じつは公安の人間だった羽住がそう明かしたのが、第4話のことだった。

 冒頭に記しているとおり、これは「連続ドラマW-30」の作品のひとつ。1話あたり約30分で、全6話というコンパクトな構成となっている。だが、描いているのは壮大なスケールのドラマ。クライムサスペンスをはじめとした複数のジャンルを横断しながら、人類と未知の存在の格闘を描いている。これらをこの尺でまとめ上げるのは、とんでもなく難しいことに違いない。しかし、『連続ドラマW シリウスの反証』(2026年/WOWOW)にも参加していた小島聡一郎の脚本は、「連続ドラマW-30」という枠組みの中で、見事にこれを実現させている。そう、本作はまず前提として、作劇が秀逸なのである。

 壮大なスケールの物語の出発点になるのは、主人公・佐野と、彼の元妻・薫(坂井真紀)の関係。3年前に薫は突然、佐野の元を去っていった。以来、このことが佐野の心の傷になっている。彼は捜査のためなら手段を選ばない、警視庁捜査一課の中でも硬派な刑事だ。そんな彼が「ALIUS」という常識では説明できない存在と向き合うことで、それまで信じていた現実が少しづつ揺らぎ始める。けれどもやはり起点にあるのは佐野と薫の、私たちの誰もが経験し得る心の摩擦なのである。

佐々木蔵之介×中川大志×恒松祐里トリオが生む緊張感

 一組の夫婦関係、熱血刑事、そして「ALIUS」の存在――。それぞれに際立った異なる要素が、絡み合い、ひとつのドラマのストーリーとして結実している。非現実的な作品とはいえ、視聴者の誰もが自然とこの世界へと足を踏み入れられる。それは本作がフィクション作品でありながら、佐野の置かれている状況が非常に現実的で、人間的なものだから。そしてこれを血の通ったものに仕立て上げているのが、俳優たちの力演なのだ。

 公開中の映画『幕末ヒポクラテスたち』でも主演を務めている佐々木は、さすがの座長ぶりである。熱く厳しい刑事像を立ち上げながらも、共演者はもちろん、私たち視聴者のことも誰ひとり、置いてけぼりにはしない。先述しているように本作は短尺ドラマだから、早い段階でオーディエンスとの共闘関係を結ばなくてはならない。佐々木は主演俳優として先頭を走り、強烈な世界観を構築する指揮を執りながら、私たちを圧することなく取り込んでみせる。佐野の持つ人間らしい部分の、繊細な表現によってである。

 そんな佐々木と渡り合うのが恒松で、彼女もまたじつに頼もしい存在だ。ときに突っ走りがちな佐野をたしなめるのが羽住で、恒松が立ち上げる彼女の存在が、本作に安定感を与える役割を果たしてきた。その落ち着いた声は、この独特な世界観を持つ作品全体をも落ち着かせ、地に足の着いたものにしている。だからこそ、彼女が公安の人間だと発覚したとき、佐野はもちろん、私たちの誰もが激しく動揺したに違いない。彼女のその言動によって、信じていた足場が一気に崩れてしまったのだから。

 ここからようやく、この作品における中川の存在にも言及していこう。彼が演じる神崎透流は、科警研から出向してきた研究者だ。佐野たちの捜査に加わり、優れた仮説を立ててみるなど素晴らしい働きをするのだが、その純粋すぎる好奇心ゆえに周囲を困惑させることもしばしば。しかし、ともに事件と対峙し、羽住の“裏切り”をも乗り越えたことで、神崎と佐野の関係性は特別なものになってきたのだ。

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