『タツキ先生は甘すぎる!』町田啓太が体現した父親像 蒼空の言葉が沁みる最終回に

『タツキ先生』町田啓太が体現した父親像

 人生に絶望し、自分の殻に閉じこもっていた蒼空(山岸想)が外に一歩踏み出した『タツキ先生は甘すぎる!』(日本テレビ系)第10話。それを可能にしたのは、「ユカナイ」の子どもたちと蒼空自身が持つ力だった。

 主人公のタツキ(町田啓太)は「楽しいことだけ、やろう!」をモットーに、学校に行けないフリースクール「ユカナイ」の子どもたちと向き合っている。そんなタツキに、視聴者の一部からは、当初のしずく(松本穂香)のように「甘すぎる!」という批判的な声も上がっていた。

 それに対し、「子どもに甘すぎるのはいけないことなのか? それは子どもを心から信じている証ではないか?」と問いかけるのがこの最終回だ。

 一方で、本作が誠実だったのは、どんな親も我が子のことになると、なりふり構っていられなくなるということをタツキの過去で示した点だろう。蒼空の自由を奪い、追い込んだタツキと、「ユカナイ」の子どもたちに何も強要せず、自由にさせているタツキ。蒼空から、どちらが本当なのかと聞かれたタツキは何も答えられなかった。

 それは、どちらも本当の自分だからではないだろうか。他人の子どもには激甘なタツキも、自分の子どもには甘くはいられなかった。親として息子の将来が心配だからだ。もちろん、「ユカナイ」の子どもたちが将来どうなろうと自分には関係ないから、無責任に放任しているわけではない。過去の猛省があるからこそ、タツキは傷ついた子どもたちの心の回復に努めているのである。でも、こと自分の子どもには冷静ではいられなくなり、あれこれ先回りしてお膳立てしてしまうのが、親という生き物で、それも本作は綺麗事抜きに描いているのだ。

 タツキは、「ユカナイ」の子どもたちと関わる中で生き方はそれぞれであり、学校に行くことが必ずしも正解ではないと知ることができた。だが、こうあるべきという固定観念から完全に自由になれたわけではないのだろう。どこかで「ユカナイ」の子どもたちみたいに、学校に行けなくても家から出て、社会の中で生きていってほしいという気持ちがあったのかもしれない。

 そのことに、三雲から「タツキはまだ自分の力でなんとか蒼空くんのことをいい方向に導こうとしているんじゃないかな?」と指摘されて初めて気づいたタツキ。本人は無意識であっても、親のそういう気持ちは意外と子どもに伝わっているものだ。タツキはまだ本当の意味で蒼空のことを信じられていないし、蒼空もそれを感じ取っているからこそ、タツキに安心して心を開くことができないのだろう。

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