中島健人、山田涼介、宮舘涼太はなぜ人を惹きつける? 出演作から紐解く“ロイヤル”な魅力

宮舘涼太、中島健人、山田涼介に共通する強み

 「この役、普通に演じたらかなり難しそうだな」と思う役がある。

 未来から来たアンドロイド、誰もが見とれるコンビニ店長、大金持ちで学校にやってきた教師――。設定だけを見るとどこか浮世離れしており、演じ方を間違えると急に作り物っぽく見えてしまう危うさもある。

 けれど、宮舘涼太や中島健人、山田涼介がそうした役を演じると、その浮世離れした設定が魅力に変わる。現実世界でたしかに呼吸をしているような、とても自然で、けれども眩しい輝きに、いまの“ロイヤル”な俳優たちの強さがあるのではないだろうか。

 なお、ここでいう「ロイヤル」とは、単に王子様のように見えるという意味ではない。現実離れした設定の役を、その人が本当にそこにいるように見せ、視聴者を引き込む力のことだ。

 2026年の春ドラマでは、宮舘涼太と中島健人がその個性を印象づけた。そして山田涼介は過去作や7月スタートの『一次元の挿し木』(読売テレビ・日本テレビ系)で、新たな形の魅力を見せようとしている。この3人の役に説得力がある理由、それぞれが持っている武器とは何なのだろうか?

宮舘涼太に宿る「引き算の美」

『ターミネーターと恋しちゃったら』©︎テレビ朝日

 宮舘涼太には、“やりすぎない”気品がある。『ターミネーターと恋しちゃったら』(テレビ朝日系)で宮舘が演じる時沢エータは、400年後の未来からやってきた高性能ヒト型ロボット。漫画編集者の神尾くるみを守るために現代へ送り込まれ、くるみとの日々を通して「恋とは何か」を知っていく役だ。

 設定だけを聞くとかなり派手で舘様風味を全開にもできそうな役柄だが、宮舘はそこを押し出しすぎない。第3話では「人間らしく生活してほしい」というくるみの要望にあわせて真っ赤なバスローブを着て逆に怒られたり、某国民的アニメの登場人物を真似て割烹着を着たり……。あくまでも「くるみのためを想う、不器用なアンドロイド」として、どこかいじらしい雰囲気さえ醸し出す。

『ターミネーターと恋しちゃったら』©︎テレビ朝日

 言葉でも仕草でも説明をしすぎないから、見ている側はつい彼を追いかけたくなる。エータが恋を学ぶ姿も、急に人間らしくなるのではなく、ほんの少しずつ変わっていく。だからこそ、視聴者はその変化を感じ取ろうとじっくり彼を見て、その変化に気づいたときに心を動かされるのではないだろうか。

 その見せ方は、『大奥』(フジテレビ系)の松平定信にもつながっている。宮舘が演じた定信は徳川家治のいとこであり、家治と同じく、本作の主人公である五十宮倫子に思いを寄せる人物。この役で宮舘は倫子に優しく味方のように接しながらも、影で彼女を追い詰める冷ややかな一面を見せた。

 怒りや野心を大きな声で示すのではなく、冷静で整った表情の奥に置き、物語の最後でその狂気をそっと表に出す。宮舘の芝居には、表に出さないことで逆に見る人の気を引く強さがあるのだ。

Snow Man 宮舘涼太、『大奥』の世界観にマッチする佇まい 艶のある声が緊張感をもたらす

フジテレビ系で毎週木曜22時より放送中の『大奥』が、見どころたっぷりだ。艶やかな着物、京都の街並みの美しさと相反するように描かれ…

 舞台でも、宮舘はその強さを示す。岩本照、深澤辰哉、宮舘涼太が主演・演出を務めた『祭 GALA』や、Snow Man全員が主演・演出を務めた『滝沢歌舞伎 ZERO FINAL』。カメラが向いているときだけでなく、すべての瞬間に立ち方や手の動き、息遣いまでもが観客に届く。宮舘はそこで、観客の心を動かす身体とパフォーマンスを磨いてきた人だ。

 宮舘涼太のロイヤルは、豪華に、煌びやかに見せることではない。静かにしていても目が離せないことだ。派手な衣装や台詞に頼らなくても、ふとした沈黙で視線を集める。そこに宮舘涼太の強さがある。

中島健人が魅せるフェロモン

『コンビニ兄弟 テンダネス門司港こがね村店』写真提供=NHK

 宮舘が「見せすぎない」人だとすれば、中島は「見せることを怖がらない」人だ。彼は自分の華やかな魅力をわかっていてなお、その輝きをどんな役にも掛け合わせ、より強める。

 『コンビニ兄弟 テンダネス門司港こがね村店』(NHK)で中島が演じたのは、九州に展開するコンビニチェーン「テンダネス」門司港こがね村店の店長である志波三彦と志波二彦。特に三彦は“フェロモン店長”と称される強烈なキャラクターだった。

『コンビニ兄弟 テンダネス門司港こがね村店』写真提供=NHK

 “フェロモン店長”の言葉だけを見ると、かなり中島健人らしい。完璧な笑顔で老若男女をとりこにする店長という役は、これまでの彼のイメージとも重なる。だが、その舞台は王宮でも、パーティー会場でもなく、お弁当やコーヒーが並び、誰もが立ち寄るコンビニ。そこに中島が演じる三彦の、目に星形の光を宿すような漫画的なきらめきや、甘い言葉をさらりと口にする華やかさが重ねられている。 

 その一方で、映画『黒崎くんの言いなりになんてならない』の黒崎晴人は、“悪魔級ドS男子”と紹介される役だった。ヒロインに服従を命じる、強くて堂々たる存在。黒崎はその強烈な存在感で相手の心を揺さぶるタイプで、中島の持つ華やかさや強さがかなりストレートに出ていた。

火9ドラマ『彼女はキレイだった』第7話予告

 また、『彼女はキレイだった』(カンテレ・フジテレビ系)の長谷部宗介は、“最恐毒舌”エリートとして描かれている。仕事ができて、見た目も整っていて、言葉は鋭い。でもその奥には、初恋の人への思いが残っている。ここでの中島は、魅力を前に出すだけではなく、完璧に見える男の不器用さを演じている。

 中島健人のロイヤルは、遠くから眺める高貴さではない。目の前の人に向かって惜しみなく光を放ち、その場の空気ごと明るくしてしまう華やかさだ。だから三彦という役では、かっこよさが非日常に振り切れすぎない。日常の場でありながら、そこだけ少し照明が当たっているように見える。その明るさこそ、中島健人の武器だ。

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