加速する“古典の現代化”ブーム 『パリピ孔明』『超かぐや姫!』『あかね噺』が示す可能性

『週刊少年ジャンプ』で連載中であり、2026年5月の時点で単行本が21巻を数える『あかね噺』は、伝統芸能兼大衆芸能として知られる落語の世界を舞台にしている。連載が始まったとき、少年漫画誌を代表する『週刊少年ジャンプ』で落語の世界の物語が受けるかどうか心配したが、とんだ杞憂であった。人気は留まるところを知らず、今年の4月からテレビアニメの放送も開始。こちらも好評を博している。
近年、それとは別に、歴史上の有名人を扱ったり、古典文学をモチーフにした“古典の現代化”作品もヒットしている。このような手法を使った物語は昔からあったが、今、人気を獲得する理由はどこにあるのか。いくつかの作品を眺めながら、その理由を考えてみた。
『パリピ孔明』
まず取り上げたいのが、『パリピ孔明』だ。テレビアニメや実写ドラマにもなったので、ご存じの人も多いだろう。『三国志』の最大のスター・諸葛亮孔明は、戦陣で病没した。だが、なぜかハロウィンの最中の渋谷に、若い姿で転生する。アマチュアのシンガーソングライター・月見英子のマネージャーとなった孔明は、軍師としの能力を遺憾なく発揮し、彼女の知名度を上げていく。

過去の有名人が現代に現れるという話は、いままでに幾つもある。しかし、そこに孔明を持ってきたのには驚いた。『三国志』は日本でもよく知られており、蜀の軍師だった孔明の才知の凄さは、周知の事実になっている。だから孔明がすぐに現代日本に馴染んでも、彼なら当然だと、すんなり納得できるのだ。これは一例であり、孔明の知名度を巧みに使い、ユニークな現代ドラマとして成立させているのである。
『超かぐや姫!』
もうひとつ、Netflixで独占配信され、その後、劇場公開もされた長編アニメ『超かぐや姫!』にも、目を向けたい。こちらは、現存する日本最古の物語ともいわれる『竹取物語』をモチーフにしている。「月から来た」というかぐや(最初は赤ん坊だが、すぐに成長する)と、アパートで1人暮らしをしている女子高生の酒寄彩葉が出会う。やがてかぐやは、インターネット上の仮想空間『ツクヨミ』でライバー活動をするといい、彩葉はそれに協力することになる。

物語の舞台は近未来だが、今のネット社会を感じさせる要素が山盛り。ボカロ曲もふんだんに使われ、ストーリーを賑やかに飾る。2人の少女の関係性も、現在のエンターテインメントを意識したものだ。誰もが知る古典文学で、視聴者をすんなり物語世界に導きながら、今の時代ならではの『竹取物語』を表現してのけたのである。
※次ページ以降、原作コミック版『あかね噺』のネタバレを含みます。





















