『まれ』『虎に翼』に続き3度目の“朝ドラ”出演 シソンヌじろうが『風、薫る』で放つ存在感

NHK連続テレビ小説『風、薫る』第9週では、りん(見上愛)が千佳子(仲間由紀恵)の手術に立ち会い、そこでテキパキした手術介助を見せたベテラン看病婦・フユ(猫背椿)にフォーカスが当たっている。そんなフユの夫・永田康介役で本格登場しているのがお笑いコンビ・シソンヌのじろうである。

連続テレビ小説と芸人の縁は深く、『ばけばけ』(2025年度後期)ではかもめんたるの岩崎う大が新聞記者の梶谷吾郎役でたびたび登場。ナレーションの蛇とカエルの声も阿佐ヶ谷姉妹が務めた。連続テレビ小説で存在感を発揮し、俳優としての道をさらに切り開いていく芸人もいる。『らんまん』(2023年度前期)で主人公の万太郎(神木隆之介)が出入りする植物学教室に所属している無愛想な大窪昭三郎役の今野浩喜や『カムカムエヴリバディ』(2021年度後期)でるい(深津絵里)の店が軌道に乗るところやひなた(川栄李奈)の成長を見守った、酒屋のおじさん・森岡新平役で出演したおいでやす小田がそうである。今野は現在放送中の『ボーダレス〜広域移動捜査隊〜』(テレビ朝日系)に刑事役でレギュラー出演中。小田も荻上直子が監督・脚本を務めた『まる』などさまざまなジャンルの映画やドラマに出演している。
じろうもお笑い芸人として活躍する傍ら、2013年頃から俳優活動をはじめ、連続テレビ小説への出演は『まれ』(2015年度前期)、『虎に翼』(2024年度前期)に続き、3度目となる。特に『虎に翼』では相方の長谷川忍と共演し、じろうが不利な女性側の弁護士、長谷川が暴力を振るった男性側の弁護士をそれぞれ演じて、その“舌戦”が大きな話題となった。
シソンヌが得意としているコントは設定やストーリーに基づき、架空の人物やキャラクターを演じる寸劇のこと。じろうはシソンヌの名が世に知れ渡った頃からそのキャラクターへの“なりきり”度合いが注目の的となっていた。特に「川嶋佳子」という熟女のキャラクターが人気で、2012年にはケータイよしもとで川嶋が綴ったものという体で『川嶋佳子の「甘いお酒でうがい」』の連載もスタートさせた。のちにこの連載は日記小説として書籍化され、じろうはコラムニスト・小説家としての才能も開花させた。さらに、松雪泰子主演で映画化もされ、じろうは脚本を担当。脚本家として“一発屋”で終わることなく、北山宏光と佐藤勝利がW主演を務めたドラマ『でっけぇ風呂場で待ってます』(2021年/日本テレビ系)などの脚本も務めている。

そんなじろうが『風、薫る』で演じているのは、足を怪我して家で養生している夫の康介。りんと直美(上坂樹里)が彼の看護をするために家を訪ねると、「こちらですよ」と穏やかに声をかけるが、フユの仕事を「看病婦なんか」と蔑むような発言をしていた。同時に「わたしなんか」と自分のことも蔑んでおり、どうして怪我をしてしまったのかはわからないが、望まない状況に陥ってしまい、そこから長く抜け出せないせいで卑屈になっているのだろう。穏やかだと思った声は自分の人生に絶望し、諦めの境地に至ったからこそ出てくるものなのかもしれない。
かと思えば、りんや直美が布団や枕を干したり、洗髪を提案すると「いや、」と否定から入るが「助かる」と厚意を受け取る様子を見せた。康介の中の揺れ動く心がセリフひとつひとつに込められていることを感じる。
病院とはまた違う、康介の家での看病と康介自身はりんや直美にどのような影響を与えていくのだろうか。そして康介の変化をじろうがどう演じていくのかから目が離せない。
■放送情報
2026年度前期 NHK連続テレビ小説『風、薫る』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:見上愛、上坂樹里
脚本:吉澤智子
原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』
制作統括:松園武大
プロデューサー:川口俊介
演出:佐々木善春、橋本万葉ほか
写真提供=NHK























