役の数だけ“別人”を生み出す八木勇征 『LOVED ONE』で証明した役者としての“覚醒”

現在放送中のドラマ『LOVED ONE』(フジテレビ系)。この言葉には、「かつて誰かに深く愛されていた存在」という意味が込められている。
人は、家族、恋人、友人、仕事仲間などなど、誰かに支えられ、愛されながら生きている。そしてドラマに登場する法医学専門チーム「MEJ(メディカルイグザミナージャパン)」は、遺された「痕跡」を手がかりに、日本社会が抱える死因不明という闇に真正面から挑んでいく。

『LOVED ONE』が記す言葉の重みを、第2話の演技で見事に体現したのが、FANTASTICSのメンバーであり俳優としても躍進を続ける八木勇征だ。彼が演じるのは、法医学専門チームに所属する法医学者・本田雅人である。
劇中、本田は突然の事件によって、友人・広野(東龍之介)を失う。どれほど胸が裂ける思いであっても、法医学者として死と向き合わなければならない。その過酷な状況の中で、八木は揺れる心の内を、右往左往する瞳、震えを帯びた声、そして感情を飲み込む一瞬の沈黙など、丁寧に演じ切っていた。
思えば八木は、俳優としてのターニングポイントとなった『美しい彼』(MBS)をはじめ、一途で健気な恋心を瑞々しく体現して話題を呼んだ映画『隣のステラ』、さらには映画『SAKAMOTO DAYS』の冷徹でスタイリッシュな神々廻役など、役柄ごとに鮮烈な変化を遂げてきた。
常にこちらの想像を超え、新しい表情を提示し続ける彼だからこそ、私たちは新作が発表されるたび、その姿を追いかけずにはいられない。
『LOVED ONE』では、前クールの『ヤンドク!』(フジテレビ系)に続き白衣姿を披露しているが、その佇まいは少し異なる。『ヤンドク!』では、黒髪に憂いを宿した瞳が印象的な、影のある青年を演じた。一方、『LOVED ONE』では、柔らかなパーマをあてた金髪に、親しみやすく緩む口元が印象的な本田雅人を演じている。
本田は、死後画像診断(Ai)を専門とするロジカルな分析が得意な法医学者。一見、陽気なイマドキの若者風でありながら、イタズラっぽさが漂うその瞳には、優しさがふとにじむ時がある。仕事と向き合う際には、その瞳には迷いのない真剣な光が宿る。瞳に奥行きがあるからこそ、次はどんな目の表情をするのか気になり、つい目で追ってしまう。

声の表情にも変化がある。子どもには優しく「頑張ろう」と声をかけ、友人を不当な扱いから庇う時には激しく声を荒げる。そして、友達を失った悲しさと、その友達のすごさを改めて実感した瞬間。彼は顔をくしゃくしゃにしながら、人前でもはばからずに涙をこぼしていく。本田というキャラクターは、八木による目・声の機敏な変化によって、イマドキの若者ではなく「血の通った一人の人間」として確かに息づいていた。だからこそ、彼の今後を見守りたいし、応援したいと願わずにはいられなかった。






















