関友太郎×平瀬謙太朗が明かす『泉京香は黙らない』制作秘話 「俳優・堀田真由を刮目せよ!」

荒木飛呂彦の“飛躍”と飯豊まりえの圧倒的な“陽”

ーー今回は脚本協力として荒木飛呂彦さんが参加されているのも注目ポイントです。同じ作り手として、一緒に作品を作ってみてどう感じましたか?
関:いい意味で本当にぶっ飛んでいると思います。僕らが書いたプロットに対して、先生から戻ってくるメモ書きには、普通の思考ではなかなか思いつかないような飛躍というのか、ぶっ飛んでいるところがいっぱいあるんですよ(笑)。理詰めで考えるとなんでこんな展開に?と思ってしまうこともあるんですけど、でもそれは、「別にこれくらいぶっ飛んだっていいじゃん、だってこの瞬間のこれが面白いんだから」というサジェスチョンなんだなと思って。そういった表現に対する姿勢を目の当たりにできて、本当に勉強になりました。
平瀬:荒木先生から返ってくるメモはいつも1段も2段も飛躍しているのですが、その結果、ほかの人では辿り着けない「強い表現」や独特な魅力になっている。その発想の自由さを目の当たりにすると、細かい整合性を気にして小さくなってどうするんだって思わされることも多々あり、すごく刺激を受けました。

ーー脚本を読む限り、ものすごく“怖い話”だと感じました。NHKの地上波で放送される中で、かなり攻めた描写もありますよね。
関:たしかに、結構やってるかもしれません(笑)。
平瀬:もしかしたら、観る人によっては刺激が強すぎるかもしれません(笑)。
関:堀田さんが演じるミカのとあるシーンは、自分たちでも「うわ、えげつないのが撮れてる……」と現場で思っていました。でも、ギリギリ放送できるラインだと思いますし、いいものが撮れたという手応えはあります。とはいえ、単なるホラーに寄せすぎないよう、絶妙なラインを狙って編集を頑張っています。

ーーまた今回、京香が主人公ということで、露伴の役割が、いつもとは違っていますが、これは意識的にですか?
平瀬:そういえば、企画段階でプロデューサーから「ヘブンズ・ドアー禁止令」は出てたよね(笑)。
関:やっぱりそれをやってしまうと、「結局いつもの露伴の回になっちゃうじゃん」という気もしますよね。能力に頼らず、京香自身の力で切り抜ける話にしないといけないと強く意識していました。
ーーどんなにホラーな展開になっても、飯豊さん演じる京香がいることで救われる快活さがありました。京香だけはあの異様な空気に染まらない強さを感じます。
平瀬:普通のキャラクターだったら、あんな怖い思いをしたらトラウマになったり、精神的におかしくなってしまうはずなんです。でも、京香には絶対にそれが起きない。ある意味、尋常じゃないくらい強いキャラクターなんですよね。だからこそ、周りの怪異の「出力」をめちゃくちゃ上げても耐えられるんです。
関:主人公の京香には、今までのシリーズで積み上げてきた圧倒的な「陽」の強さがあるので、今作のようなおどろおどろしい物語でも、何故か自然とバランスが取れるんです。仮に僕たちがゼロから新しい主人公を生み出していたら、この奇跡的なバランスには辿り着かなかったと思います。

ーー飯豊さんとは『あれからどうした』でもご一緒されています。本作で新たに発見した凄みなどはありましたか?
平瀬:前作からそうでしたが、飯豊さんは、単なる出演者ではなく、「共に悩み、考え、一緒に作品を作る」という姿勢で望んでくれるので、僕たちとしてはものすごくやりやすかったです。あとは、現場に入ってくるときの挨拶から本当に素敵で、現場の雰囲気をパッと明るくしてくれることに何度も助けられました。
関:メイクや衣装を着る前から「リアル京香やん!」って思っていました(笑)。明確に荒木先生が「露伴に対しての敵キャラ(相対する存在)が京香である」とおっしゃっていて、元々はある種、露伴のもとに災いをもたらすキャラクターとして描かれていました。でも、敵役のようなポジションなのに「なんでこんなに明るいんかい!」みたいなエッセンスは、本作でも大切に残せたらいいなと思っていました。
平瀬:そして、飯豊さんと相対する形で、堀田さんのお芝居も本当にすごいです。完全にお節介ですが、「俳優・堀田真由を刮目せよ!」という気持ちです。今までにない堀田さんのお芝居を堪能いただけると思います。
ーーゴールデンウィークの放送ということで、視聴者にはどのような環境でこの恐怖体験を味わってほしいですか?
関:どうせなら、部屋を真っ暗にして観てください(笑)。お喋りは禁止で、スマホの電源も切って、電気も消して、観るための敷居をあえて高くして観てほしいです。絶対にそっちのほうが楽しい体験ができると約束します。
■放送情報
『泉京香は黙らない』
NHK総合にて、5月4日(月・祝)21:30~22:30放送
※NHK ONEで同時・見逃し配信予定
出演:飯豊まりえ、堀田真由、寛一郎、橋本淳、高橋一生
原作・脚本協力:荒木飛呂彦
音楽:菊地成孔/新音楽制作工房
人物デザイン監修:柘植伊佐夫
脚本・演出:関友太郎・平瀬謙太朗
制作統括:小川康之、土橋圭介、ハンサングン
制作:NHKエンタープライズ
制作・著作:NHK、ピクス
写真提供=NHK




















