『月夜行路』作間龍斗演じる“カズト探し”が本格的に開始 久本雅美が放つ強烈な存在感も

『月夜行路』“カズト”作間龍斗探し開始

 頼子は店に入ってきた相手が孫ではなく強盗だと気づいていたが、自分が目の見えない人間だと思わせたまま、その場をやり過ごそうとしていた。相手に気づかれれば危険だとわかっていたからだ。一方の強盗も、頼子の孫になりすまして店に居座っていた。つまりあの店では、頼子は“気づいていないふり”をし、強盗は“孫のふり”をしていたのである。「一見さんはお断り」という頼子の言葉は涼子とルナを危険にさらさないための警告でもあったのだ。そんな緊迫した状況の中で、言葉遣いや、消火器を振り回す場面ひとつを取っても、久本雅美の迫力は圧倒的だった。

 ルナが頼子に向けてキャスリン・ストケットの名を出していたのも面白い。代表作『ヘルプ 心がつなぐストーリー』を踏まえれば、それはそのままSOSのサインだったとも読める。本作は毎回、文学作品をただ引用するのではなく、その場の感情や状況に合わせて意味を滑り込ませてくる。そうした細かな仕掛けも本作の魅力だ。

 同時に、事件や捜査だけでなく、ルナと涼子の過去にも踏み込んだ。ルナがトランスジェンダーとして生きるに至った経緯が明かされ、涼子とカズトの別れにも、火事という大きな出来事があったことが見えてくる。涼子のアパートの火事でカズトが怪我を負い、大学院の入試を受けられなくなったこと。その痛みが、いまなお彼女の中に残り続けていること。カズトから語られる「愛することは命懸け」という言葉は、『春琴抄』の世界だけでなく、涼子とカズトの過去にも重なっていた。

 そしてラストでは、涼子が家族に伝えていた「祖母がぎっくり腰になった」という言い訳が嘘だとバレてしまう。大阪での時間は、もはや気まぐれな逃避では済まなくなってきた。カズトを探す旅は、過去の恋をなぞるためのものではなく、涼子自身が置き去りにしてきた人生を取り戻すためのものなのかもしれない。

■放送情報
『月夜行路 ―答えは名作の中に―』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00〜放送
出演:波瑠、麻生久美子、作間龍斗、久本雅美、栁俊太郎、渋川清彦ほか
原作:秋吉理香子『月夜行路』(講談社文庫)
脚本:清水友佳子
音楽:Face2fAKE
演出:丸谷俊平、明石広人
チーフプロデューサー:道坂忠久
プロデューサー:水嶋陽、小田玲奈、松山雅則
制作協力:トータルメディアコミュニケーション
製作著作:日本テレビ
©日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/getsuyakouro/
公式X(旧Twitter):https://x.com/getsuyakouro

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