『未来のムスコ』トラブルを救う将生の不器用な優しさ 塩野瑛久の奥行きのある演技が光る

育児に芝居にバイト、そして“まーくん”探し。大量のタスクを一人で抱え、頭の中がパンクしそうな未来はついに限界を迎え、体調を崩してしまう。それでもモデルの仕事をやり遂げた未来を車で自宅まで送り、差し入れを玄関のドアノブにかけておいた真。未来は家に帰ってすぐ力尽き、代わりに優太が颯太を保育園から連れ帰ってくれた。しかし、今の未来には真のさりげない愛情にも、優太のまっすぐな優しさにも胸をときめかせる余裕がない。自分に続いて颯太まで熱を出し、結局、稽古にも穴をあけてしまった未来は罪悪感でいっぱいだ。そんな未来の心を楽にしてくれたのが、将生だった。

颯太が好きなバナナを買ってきてくれただけではなく、優太が紹介してくれた病院まで車で送り、保険証がないゆえに高い治療費も立て替えてくれた将生。付き合いが長いからこそ、彼は未来が誰よりも真面目で頑張り屋な反面、人に頼るのが苦手でつい無理をしてしまう性格であることを理解している。だから、ついもどかしくてきつい言葉をかけてしまうこともあるけれど、本心ではただ未来の力になりたいだけなのだ。そう思うのは将生自身、どんな状況でも「だんない」の精神を失わない未来の存在に救われてきたから。自分はいつも助けられてばかりだと思っていた未来だが、実は知らないうちに自分も誰かを助けていた。結局はお互い様なのである。

そのことに未来は将生のおかげで気づけた。かたや将生は颯太をおぶったことで、未来が守ろうとしている命の重みを知る。将生が未来の夢を応援していることは間違いない。そこに子育てへの理解も加わったとなれば、これはもう最強なのではないだろうか。10年前に2人が別れる原因になったキス事件に関しても、何かしらの誤解がある様子だ。その誤解を解こうとせず、未来から手を離してしまったことへの後悔が将生からは感じられる。

NHK大河ドラマ『光る君へ』で演じた一条天皇に代表される繊細さが要求される役どころはもちろん、 『来世ではちゃんとします』シリーズ(東京テレビ系)や『無能の鷹』(テレビ朝日系)のようなコメディもお手のもの。さらには『魔物 (마물)』(テレビ朝日系)では、DV男役を怪演し、観る人を戦慄させるなど、塩野瑛久はあらゆるジャンルや役柄を網羅する稀有な俳優である。将生は荒々しさが目立つ役柄だが、未来に対して素直に向き合えない弱さも伝わってくる、奥行きのある演技は流石の一言だ。

さて、将生が再び“まーくん”候補入りする一方で、未来は自分の選択次第で颯太が生まれなくなってしまう可能性に気づく。すでに颯太への母性が芽生えている未来にとっては、それは絶対に避けたい事態。今の頼みの綱は、颯太をサポートする近未来のスマートウォッチ・ルナを修理してくれている芥川(萩原護)だけ。果たしてルナは、10年後の未来が何をしているか、またその夫である“まーくん”についての情報を持っているのだろうか。
恋も仕事も夢も中途半端だった主人公がある日突然母となり、子育てを通して、誰かと生きること、支え合うことの意味を知り、自分らしく生き直していく姿を描く。
■放送情報
火曜ドラマ『未来のムスコ』
TBS系にて、毎週火曜22:00~22:57放送
出演:志田未来、塩野瑛久、小瀧望、兵頭功海、天野優、吉村界人、箭内夢菜、萩原護、ビビる大木、藤原さくら、板倉武志、難波なう、西野七瀬、マキタスポーツ、神野三鈴、水瀬いのり(声の出演)、淵上泰史
原作:阿相クミコ・黒麦はぢめ『未来のムスコ~恋人いない歴10年の私に息子が降ってきた!』(集英社『ヤンジャン+』連載)
脚本:ニシオカ・ト・ニール、いとう菜のは
プロデューサー:天宮沙恵子、松本明子
演出:井村太一、古林淳太郎、泉正英
主題歌:秦基博「ポケットに魔法を入れて」(UNIVERSAL MUSIC/AUGUSTA RECORDS)挿入歌:Hi-Fi Un!corn「SUPER DUPER」(Sony Music Labels)
製作:TBSスパークル、TBS
©TBSスパークル/TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/mirainomusuko_tbs/
公式X(旧Twitter):@mirai_musukotbs
公式Instagram:mirai_musuko_tbs
公式TikTok:@mirai_musuko_tbs

























