志田未来、『14才の母』から10年周期で演じる“母”　『未来のムスコ』はどんな母親像に？

　2026年1月期のTBS火曜ドラマ枠で、志田未来主演の連続ドラマ『未来のムスコ』が放送される。本作は、漫画『未来のムスコ～恋人いない歴10年の私に息子が降ってきた！』（集英社）が原作。“定職なし、貯金なし、彼氏なし”の崖っぷちアラサーの主人公・未来（志田未来）は、ある日突然、自分を「ママ」と呼ぶ颯太（天野優）の母親になる。親子ふたりによる未来の夫“まーくん”探しの日々が幕を開ける。

　志田未来が“母”になる。それだけでも、ドラマ好きならきっと胸を躍らせるに違いない。子役で芸能界デビューした志田が連続ドラマ初主演を飾ったのが、2006年10月期に放送された『14才の母』（日本テレビ系）だった。井上由美子のオリジナル脚本による未成年の妊娠出産をテーマにした同作は、放送当時13歳の志田が母となり、葛藤を乗り越えて周囲の人々と生きていく姿が大きな反響を呼んだ。

　『14才の母』で「10代の天才女優」として脚光を浴びた志田未来は、『小公女セイラ』（TBS系）や『秘密』（テレビ朝日系）、映画『誰も守ってくれない』で主演を務めるなど、持ち前の演技力を発揮してドラマや映画に欠かせない顔となった。その志田が未婚の母として子育てや夫探しに奔走するのが『未来のムスコ』ということになる。

　実は、志田は2016年7月期の『はじめまして、愛しています。』（テレビ朝日系）でも母親役を演じている。ドラマの終盤で登場した志田は精神を病んだ黒川泉を演じた。泉は尾野真千子演じる主人公の梅田美奈が特別養子縁組をする光（横山歩）の母で、実父に性的虐待を受けて光を産んだ背景があった。『14才の母』、『はじめまして、愛しています。』、そして『未来のムスコ』。10年周期で“母親”を演じており、経緯は異なるものの、いずれも望まない妊娠などにより親として生きる選択を突き付けられる難役だった。

　親として生きること。いつ親になるか、どの時点で自分がその子の親であると認識するかは、一概には言えない。新しい生命を授かり、胎動を感じながら、出産を経て、赤ん坊と過ごす日々の暮らしの中で、徐々に親としての自覚が芽生え、自然に受け入れていくものなのだろう。突発的な我が子の出現は、特に母親にとって、目の前の現実をまるごと塗り替えてしまうインパクトを持っている。

　そう考えると、20年目の『未来のムスコ』は、志田未来にとって『14才の母』以降、積み上げてきた母親像の延長上にあり、過去作を更新するものといえる。違っているのは年月を経てキャリアを重ねる中で、志田自身が役者として成長してきたことだ。率直に言って、現在の志田未来は最強である。主演でも脇役でも、どんなテイストにも溶け込み、作品にとって欠かせないピースを担う志田はもっとも信頼できる演じ手の一人だ。

　だから、『未来のムスコ』のトリッキーな設定もまったく不安要素にはならない。『ホットスポット』（日本テレビ系）でも、超能力を持つホステスで、ずっとアイプチをしていたら二重まぶたになった真鍋瑞稀にリアリティを吹き込んでいた。その上で、志田がどんな母親像を提示するかは、今作の大きな見どころになるだろう。

　将来自分が親になるなら、いまの自分は何をしてどんな人間であるべきか。主人公の未来は颯太と心のつながりを感じ、それが今を懸命に生きるエネルギーになる。子を持つことが「ぜいたく」とさえ言われる社会で、“未来”そのものである子どもを育てる営みを通して、親になることの意味や大人の責任について考える機会となるはずだ。

　養子縁組が以前より一般的になりつつある現在、『未来のムスコ』が、さまざまな形で親となり、家族をつくることを模索する人々に、前に踏み出す勇気をくれる作品になることを願ってやまない。

■放送情報
火曜ドラマ『未来のムスコ』
TBS系にて、2026年1月スタート 毎週火曜22:00～22:57放送
出演：志田未来、天野優
原作：阿相クミコ・黒麦はぢめ『未来のムスコ～恋人いない歴10年の私に息子が降ってきた！』（集英社『ヤンジャン＋』連載）
脚本：ニシオカ・ト・ニール、いとう菜のは
プロデューサー：天宮沙恵子、松本明子
演出：井村太一、古林淳太郎、泉正英
製作：TBSスパークル、TBS
『未来のムスコ』©TBS
公式サイト：https://www.tbs.co.jp/mirainomusuko_tbs/
公式X（旧Twitter）：@mirai_musukotbs
公式Instagram：mirai_musuko_tbs
公式TikTok：@mirai_musuko_tbs