松山ケンイチが向き合う実体のない“普通” 多彩な役作りは「別角度から常識を意識する」

松山ケンイチが向き合う実体のない“普通”

「大人の価値観で曲げたくない」子どもたちへの想い

――松山さんはどちらかといえば、幅広い役を演じられていますし、私生活でも東京と田舎で二拠点生活を送っていたり、SNSで一般の方と交流されたり、あらゆる面において型にはまらないイメージがあります。

松山:ずいぶん前に読んだ本に、常識と非常識のギリギリの境目がクリエティブなんだって書いてあって。あまりにもやっていることが常識から外れていると、おそらく誰もキャッチできなくなってしまう。だけども、常識の範囲内でやっていたら、情報の中に呑み込まれて消えてしまうってことだと僕は解釈したんです。それを僕なりに実践していて、自分にしかできないこと、自分にしかできない表現を模索しつつも、別角度から常識を意識する、みたいなことを常にやっているような気がします。

――では、あまり“普通”というものへのこだわりはないですか?

松山:僕はどちらかと言えば、共感してもらわなくていいから楽しいことをしたいって思うタイプなので、そうですね。でも、それは人に恵まれてきたからだと思います。傷ついた経験もそれなりにあるけど、それ以上に守られてきたんだろうなって。おそらく安堂はそうではなかったんだと思います。周囲との差で傷ついたときに助けてくれる人や、「自分は自分のままでいいんだ」と思わせてくれるような存在がいなかったんだろうなと思います。

――安堂は13歳のときに発達障害と診断されていますが、特に思春期は自分と周りの差が気になるものだと思います。松山さんはその辺り、お子さんたちと接する上で心がけていることはありますか?

松山:僕がちょっと変わってるけど、周囲に支えられて、どうにか幸せに生きてきたので、自分も子どもたちを支える立場になりたいなと思っています。今って、多様な考え方が少しずつ社会に許容されてきているじゃないですか。少なくともここからその受容の幅が狭まっていくことはなく、どんどん広がっていくと思うんですね。そんな時代の中で育った子どもの感性を、大人の常識や価値観で曲げるような行為はしたくないですし、そうじゃないと新しいものも生まれないだろうなって気がします。

――やっぱり、お子さんと話していると「今の価値観はこうなんだ」っていう驚きや発見がありますか?

松山:ありますね。ただ、理解できないこともあるんですよ。それこそ僕が子どもの頃はスマホもなかったし、SNSに触れることもなかったので、それらが当たり前の時代を生きている子どもたちの話はやっぱりわからない(笑)。でも、わからないからといって禁止したり、口を塞いだりして、自分が安心するってことだと危ないような気がするので、子どもたちが楽しんでいるなら、それを尊重したいし、苦しんでいるなら助け舟を出してあげるような親でいたいなとは思っていますけどね。

■放送情報
ドラマ10『テミスの不確かな法廷』
NHK総合にて、毎週火曜22:00~22:45放送(全8回)
※毎週木曜24:35〜25:20再放送
NHK ONE(新NHKプラス)で同時・見逃し配信予定
出演:松山ケンイチ、鳴海唯、恒松祐里、山崎樹範、山本未來、齋藤飛鳥、市川実日子、和久井映見、遠藤憲一 ほか
第2話ゲスト:山時聡真
第3話・第4話ゲスト:伊東蒼
原作:直島翔『テミスの不確かな法廷』
脚本:浜田秀哉
音楽:jizue
演出:吉川久岳(ランプ)、山下和徳、相良健一、富澤昭文
制作統括:橋立聖史(ランプ)、神林伸太郎(NHKエンタープライズ)、渡辺悟(NHK)
写真提供=NHK

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