すなくじらの「2025年 年間ベストアニメTOP10」 原作もののハイクオリティな映像化

すなくじらの2025年ベストアニメTOP10

第3位『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ』

『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ』大ヒットの衝撃 プレスコ会話劇の妙と若手作家の未来

亀山陽平監督のアニメ作品『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ』が大絶賛のうちに全12話の放送・配信を終えた。ギャル語で喋るサイボーグ…

 亀山陽平監督が約2年をかけ、脚本・キャラクターデザイン・モデリング・アニメーション・編集・音響監督まで、実制作のほとんどを一人で担った1話3分半のショートアニメ。放送開始時こそ話題性ランキング圏外だったが、口コミで週を追うごとに注目度が上昇し、YouTubeでの総再生回数は1億5000万回を突破。11言語での吹替配信が功を奏し、海外ファンからも熱い支持を集めている。

 レトロフューチャーな世界観、映像と音楽がぴたりと噛み合う「音ハメ」演出、そして妙にリアルな会話劇。SNSで“ミルサブファン”を公言する著名人も多く、3分半とは思えない密度で、観る者を沼に引きずり込むような作品だ。

第2位『メダリスト』

TVアニメ『メダリスト』第2期PV第2弾|ED主題歌:Conton Candy「Rookies」

 2025年、これほど「この2人を見守りたい!」と思わせた作品があっただろうか。夢を諦めた青年・明浦路司と、才能がありながら自分を好きになれない少女・結束いのり。欠落を抱えた二人が氷上で互いを必要としながら再生していく過程を、花田十輝の脚本が毎話丁寧に紡いでいく。ライバルたちにも一人ひとりドラマがあり、誰も踏み台にされない。勝っても負けても、全員がそれぞれの物語を生きているところに、本作の魅力がある。

 元五輪代表・鈴木明子による振付監修のおかげで、競技シーンのクオリティも高い水準で噛み合っている。2026年1月放送決定の第2期も、待ち遠しくて仕方がない。

第1位 劇場アニメ『ベルサイユのばら』

『ベルサイユのばら』©︎池田理代子プロダクション/ベルサイユのばら製作委員会

 連載開始から52年、原作完結から50年。池田理代子の不朽の名作が、MAPPAと吉村愛監督の手で劇場アニメとして蘇った。まず圧倒されるのが、ベルサイユ宮殿の再現度だ。「鏡の間」をはじめ、宮殿の外観・内観は実物や当時の絵画を徹底的にリファレンスし、3DCGをベースに構築。窓から差し込む光、貴族たちの衣装やレースの繊細なディテールまで、画面のすべてが18世紀フランスの空気を纏っている。

 もうひとつの挑戦が、ミュージカル形式の導入だ。賛否が分かれうる選択だが、限られた尺の中でキャラクターの運命が交錯していく様を描くには、歌と芝居が溶け合うこの形式しかなかったと思わせる説得力がある。キャストの歌唱力は折り紙付きで、筆者としては沢城みゆきのオスカルの声を聴くためだけに足を運んだ甲斐があった。

 週替わりの入場特典もファンの心をくすぐり、伝説の名シーンを収めた複製原稿の差出人欄には「池田理代子」のサインが。原作への敬意、映像の強度、劇場版ならではの挑戦。すべてが揃った、2025年を代表する傑作だ。

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