明日菜子の「2025年 年間ベストドラマTOP10」 日常の中にふと差し込んだ小さな光

明日菜子の2025年ベストドラマTOP10

 映画版3部作の“その後”を描いた『ちはやふる-めぐり-』は、コスパ/タイパ至上主義のイマドキ高校生・めぐる(當真あみ)を軸に据えた“新解釈版『ちはやふる』”だ。本編ではサブキャラだった奏(上白石萌音)とめぐるが手を取り、千早(広瀬すず)率いる王者・瑞沢に挑む激アツ構図になっている。どれほど夢を見づらい時代になったとしても、『ちはやふる』は若者の心に火を灯す存在であってほしい。

 家庭環境の異なる人々が“対話”を通して繋がってゆく『対岸の家事』は、きわめて現代らしい一作。他人が抱える事情や想いは、簡単にはわからない。だからこそ、“対話”が必要であり、このハードな時代を乗り切るためには“連帯”と“共闘”が欠かせないのである。物語では可視化されづらい主婦/主夫の声を、丁寧に掬い上げていた点も画期的。本作のメッセージを忘れないためにも、TBSには毎年再放送をしてほしい。

 蓮佛美沙子と永作博美による、至高のシスターフッド作品がここに誕生! 経済苦に悩むパティシエと、おばちゃん料理研究家が“たった一人のためのお菓子教室”を開く『バニラな毎日』は、いつしか視聴者にとってもサードプレイスのような存在になっていた。スランプに陥っていたミュージシャンの木戸大聖が、SUPER BEAVERの「片想い」を歌い上げる第28話は、ドラマ史に残る名シーンだ。

 元バリキャリの独身女性と、元ヤン社長のシングルマザーが、禁断の“ニセママ”契約を結ぶ『フェイクマミー』。男女の友情よりも遥かに難易度が高い(?)独身女性と子持ち女性の友情を、ここまで軽やかに描いてくれたことに、まず感謝したい。最終回で薫(波瑠)が立ち上げた“代理保護者”として、家庭や教育を支える新事業は、母や父にならずとも、未来を担う子どもたちに寄り添うことはできるという、新たな可能性を示していた。

 30代女性4人が小型の人工衛星を打ち上げるために奔走する『いつか、無重力の宙で』は、俳優、演出、ストーリー、そして吉澤嘉代子が手がけた主題歌「うさぎのひかり」に至るまで、すべてが好きだった。毎話15分とは思えない濃密な物語は、どこまでも連れて行ってくれるような気がした。森田望智、片山友希、伊藤万理華という今をときめく俳優たちを見事に束ね上げた主役の木竜麻生は、間違いなく、2026年の映像界に欠かせない存在になるだろう。

■リリース情報
『僕達はまだその星の校則を知らない』
2026年2月13日(水) Blu-ray&DVD BOX発売

【Blu-ray】
価格:35,035円(税込)
品番:TCBD-1882
仕様:2025年/日本/カラー/本編+特典映像(収録分数未定)/16:9 1080i High Definition/1層/音声:リニア PCM2.0ch ステレオ/バリアフリー日本語字幕(本編のみ)/全11話/4枚組(本編ディスク3枚+特典ディスク1枚)

【DVD】
価格:28,600円(税込)
品番:TCED-8413
仕様:2025年/日本/カラー/本編+特典映像(収録分数未定)/16:9LB/片面2層/音声:ドルビーデジタル 2.0ch ステレオ/バリアフリー日本語字幕(本編のみ)/全11話/4枚組(本編ディスク3枚+特典ディスク1枚)

出演:磯村勇斗、堀田真由、平岩紙、市川実和子、日高由起刀、南琴奈、日向亘、中野有紗、月島琉衣、近藤華、越山敬達、菊地姫奈、のせりん、北里琉、栄莉弥、淵上泰史、許豊凡(INI)、坂井真紀、尾美としのり、木野花、光石研、稲垣吾郎
脚本:大森美香
音楽:Benjamin Bedoussac
主題歌:ヨルシカ「修羅」(Polydor Records)
監督:山口健人、高橋名月、稲留武
プロデューサー:岡光寛子(カンテレ)、白石裕菜(ホリプロ)
制作協力:ホリプロ
制作著作:カンテレ
発売元:カンテレ
販売元:TCエンタテインメント
©︎カンテレ

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