興収で読む北米映画トレンド
『アバター:F&A』世界興収3億ドル超え大ヒット ティモシー・シャラメ新作も記録更新

2025年最後のハリウッド大作映画が劇場公開を迎えた。ジェームズ・キャメロン監督『アバター』シリーズの最新作『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』は、12月19日~21日の北米映画週末ランキングでNo.1を獲得。3日間の興行収入は8800万ドルだった。
本作は海外市場で興行収入2億5700万ドルを記録し、全世界興行収入は3億4500万ドルのロケットスタート。全世界でのオープニング興収記録では、同じくディズニー作品の『ズートピア2』に次いで今年第2位となった。
また、日本以外の全市場にてハリウッド作品の週末No.1を獲得(日本は『ズートピア2』がNo.1)。特に優れた成績を収めた中国・フランス・ドイツ・韓国のみならず、SF映画が苦戦しがちな市場においても、2025年のハリウッド映画として初動記録を更新した。

気になるのは、前作『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』(2022年)と比較した場合、数字が予想以上に大きく落ちていることだ。前作は北米興収が1億3400万ドル、世界興収が4億3500万ドル。製作費およそ4億ドルとも伝えられるなか、ホリデーシーズンにどこまで劇場を盛り上げられるかがカギとなる。
しかしながら、『アバター』シリーズは2009年の第1作から、オープニング興行収入よりもその後の成績で挽回してきたのが特徴だ。第1作の北米初動成績は7702万ドルにとどまったが、ぐんぐん成績を伸ばし、最後には北米興収7億4976万ドル、世界興収27億4357万ドル(初上映時)と歴代記録を更新するに至ったのである。
課題となるのは、第1作『アバター』から第2作『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』までが13年空いたのに対し、今回は前作から3年後の新作であり、作品としての貴重さがあまりないこと。また、上映時間が3時間17分とシリーズ史上最長であり、1日の上映回数が限られやすいことだ。
ただし、それでも観客の評価はすこぶる高く、Rotten Tomatoesでは批評家スコア68%に対し、観客スコアは92%。映画館の出口調査に基づくCinemaScoreでは「A」を獲得しており、別の出口調査では、回答者の半数以上が「もう一度観る」と答えたという。口コミとリピーターの効果で、思わぬ伸びを見せる可能性があるということだ。
また、観客の年代は25歳以下が約4割にのぼり、ヒットに欠かせない若年層をつかんでいることもうかがえる。3D上映の興行収入が全体の56%、さらにIMAX上映などプレミアムラージフォーマットを含めると全体の66%を占めることも興行においては追い風だ。

なお、『ズートピア2』と『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』の世界的ヒットにより、ディズニーの年間興行収入はまもなく60億ドルを突破する。ワーナー・ブラザースの50億ドルを大幅に上回り、大手スタジオとしてぶっちぎりNo.1の数字だ。
今週は『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』以外にも複数の新作が公開され、それぞれ健闘を見せている。





















