興収で読む北米映画トレンド
『アバター:F&A』世界興収3億ドル超え大ヒット ティモシー・シャラメ新作も記録更新

第2位『David(原題)』は聖書を題材としたアニメーション映画で、テレビシリーズ「Young David(原題)」の続編。北米3118館で週末興収2201万ドルと、配給のAngelとしては『サウンド・オブ・フリーダム』 (2023年)を抜いて史上最高記録となった。Rotten Tomatoesでは批評家70%・観客98%、CinemaScoreは「A」評価。日本ではハークが配給権を獲得しており、2027年以降公開と伝えられている。
第3位は、シドニー・スウィーニー&アマンダ・セイフライド主演のサイコスリラー映画『The Housemaid(原題)』。北米3015館で週末興収1895万ドルと、R指定の大人向け映画としては好調な滑り出しとなった。観客の75%が25歳以上、女性客が全体の70%を占めている。
原作はフリーダ・マクファデンの同名小説『ハウスメイド』(邦訳版は早川書房刊)で、監督は『シンプル・フェイバー』シリーズのポール・フェイグ。とある裕福な家庭が、暗い過去を持つ女性(シドニー・スウィーニー)を住み込みメイドとして雇ったことから崩壊してゆく……。Rotten Tomatoesでは批評家75%・観客92%、CinemaScoreでは「B」評価。スリラー映画としてはかなりの高水準だ。
第4位は『スポンジ・ボブ』シリーズの映画第7弾『劇場版スポンジ・ボブ 呪われた海賊と大冒険だワワワワワ!』。北米3557館で週末興収1600万ドルを記録したが、シリーズの興収記録としてはふるわない滑り出しとなった。もっともRotten Tomatoesでは批評家88%・観客76%、CinemaScoreではシリーズ史上最高の「A-」評価を獲得。この結果がホリデーシーズンにどう響くかに注目だ。

今週もうひとつの注目作は、A24製作によるティモシー・シャラメ主演映画『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』。クリスマスの全米公開に先がけ、北米わずか6館で87万5000ドルという驚異的なスタートを記録した。1館あたりの成績は14万5833万ドルで、2025年の最高記録を更新したほか、『ラ・ラ・ランド』(2016年)以来の好記録だという。

本作はシャラメ演じる主人公マーティ・マウザーが世界選手権をめざして(手段を選ばず)奔走する卓球映画にして、『アンカット・ダイヤモンド』(2019年)や『グッド・タイム』(2017年)を手がけたサフディ兄弟の兄、ジョシュ・サフディ監督らしいエネルギッシュでダークな一作。Rotten Tomatoesでは批評家スコア95%と絶賛されている。
ロサンゼルスやニューヨークでの上映は完売が相次いだほか、前売りセールスもA24史上最高記録を樹立。拡大公開での大ヒットが期待される。日本公開は2026年3月13日。
いよいよ年末が迫るなか、2025年の北米映画市場の年間興収は83億8000万ドル。実写版『リロ&スティッチ』や『ズートピア2』をはじめ、数々のヒット作に恵まれたが、思わぬ不振に苦しんだ大作映画もあったため、前年比わずか1.3%増となっている。
クリスマスにはジャック・ブラック&ポール・ラッド主演による『アナコンダ』のリブート版『Anaconda(原題)』や、ヒュー・ジャックマン&ケイト・ハドソン主演の実話音楽映画『Song Sang Blue(原題)』など多数の新作が公開されるが、年間90億ドルの大台を超えられるかは、大作映画の市場牽引力にかかっている。
北米映画興行ランキング(12月19日~12月21日)
1.『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』(初登場)
8800万ドル/3800館/累計8800万ドル/1週/20世紀スタジオ
2.『David(原題)』(初登場)
2201万ドル/3118館/累計2201万ドル/1週/Angel
3.『The Housemaid(原題)』(初登場)
1895万ドル/3015館/累計1895万ドル/1週/ライオンズゲート
4. 『劇場版スポンジ・ボブ 呪われた海賊と大冒険だワワワワワ!』(初登場)
1600万ドル/3557館/累計1600万ドル/1週/パラマウント
5.『ズートピア2』(↓前週1位)
1450万ドル(-44%)/3540館(-295館)/累計2億8280万ドル/4週/ディズニー
6. 『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ2』(↓前週2位)
725万ドル(-62.6%)/3012館(-567館)/累計1億893万ドル/3週/ユニバーサル
7.『ウィキッド 永遠の約束』(↓前週3位)
430万ドル(-49.7%)/2913館(-567館)/累計3億2050万ドル/5週/ユニバーサル
8.『Dhurandhar(英題)』(↓前週4位)
247万ドル(-30%)/400館(+23館)/累計1260万ドル/2週/Moviegoers Entertainment
9.『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』(初登場)
87万ドル/6館/累計87万ドル/1週/A24
10.『ハムネット』(↑前週11位)
85万ドル(-40.7%)/617館(-132館)/累計876万ドル/4週/Focus Features
(※Box Office Mojo、Deadline調べ。データは2025年12月22日未明時点の速報値であり、最終確定値とは誤差が生じることがあります)
参照
https://www.boxofficemojo.com/weekend/2025W051/
https://variety.com/2025/film/box-office/avatar-fire-and-ash-box-office-opening-weekend-james-cameron-1236613727/
https://www.hollywoodreporter.com/movies/movie-news/avatar-fire-ash-box-office-james-cameron-opening-1236456206/
https://deadline.com/2025/12/box-office-avatar-fire-and-ash-housemaid-1236653423/
https://deadline.com/2025/12/avatar-fire-and-ash-opening-global-international-box-office-1236652516/
https://deadline.com/2025/12/indie-film-box-office-marty-supreme-timothee-chalamet-1236654607/
https://deadline.com/2025/11/david-angel-studios-6-million-theatrical-pre-sales-1236629455/






















