『もしがく』舞台初日を前に菅田将暉&神木隆之介らが奮闘 “お告げ”に波乱の予感も

10月22日に放送された『もしがく』こと『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』(フジテレビ系)は第4話。前回は“久部版『夏の夜の夢』”の配役から読み合わせ、立ち稽古までが描かれていたが、今回は初日を翌日に控えてもなおまとまりのない、混沌とした様子が描かれていく。演劇経験のないWS劇場の面々の緊張感のなさと準備不足から「絶対に失敗する」と頭を抱える久部(菅田将暉)。そんな久部からラストの台詞のリライトを託される蓬莱(神木隆之介)。
一方、練習に打ち込むリカ(二階堂ふみ)は、劇場オーナーのジェシー(シルビア・グラブ)から、いま流行っているマイケル・ジャクソンの「スリラー」を取り入れてみてはと提案され、その練習をさせられる。さらにシングルマザーのモネ(秋元才加)は、絵の才能を開花させた息子の朝雄(佐藤大空)について、朝雄の学校の先生から教育環境について助言されて激昂。「これからはシェイクスピア俳優として生きていく」と、舞台への意欲を高めていくのである。

中盤で久部は、オーナーが買ってくれないからとステージ演出に欠かせないパーライトをくすねるために、トニー(市原隼人)たちを連れて劇団「天上天下」が上演を行っているジョン・ジョン劇場へと忍び込む。案の定、パーライトを無断で持ち出したことが黒崎(小澤雄太)にバレてしまい、彼はゲネプロ(=ドイツ語のゲネラルプローベの略で、舞台などの最終リハーサルを意味する言葉である)のタイミングでWS劇場に乗り込んでくるのだが、久部はつかこうへいの言葉などを引用しながら理論武装(といっても、理論というより理念に近いものだが)で抗おうとする。

「芝居はテクニックではない、生き様だ。その役者がどう生きてきたか。客はそこを見る」。そう語る久部は、「親のスネかじって芝居だけやってきた奴らとは違う」と食ってかかるが、黒崎に「お前のことだろ」と言われてしまう。ふと思い返してみれば、このドラマでは久部をはじめとした登場人物がこれまで“どう生きてきたか”はあまり描かれていない。例えば今回、ジェシーが俳優座養成所の出身だとか、八分神社の論平(坂東彌十郎)が以前神主を務めていた神社はダムの底に沈んでいるとか、ほんのりと触れられる程度にとどまっているのである。

劇中で久部は「役者がどう生きてきたか」を見せようとする――すなわち“過去”をもって“現在”を見せる一方で、このドラマ自体は、1984年の八分坂という舞台の上でさまざまな事情を抱える登場人物たちが「必死で生きている」――いわば、劇中における“現在”をもって“過去”を見せようとしているわけだ。いずれにせよ、黒崎が乗り込むことでピークに達した混沌を鎮めるのは、WS劇場の人々の必死さが結実した演技に他ならない。混沌が、場所なりシチュエーションなり一つの何かに綺麗に収まることこそ群像劇の醍醐味であり、今回のエピソードは(肝心の公演が始まる前でありながらも)それを存分に感じることができた。

ところで、冒頭で案内所のおばば(菊地凛子)が久部に対して「甘さで足元をすくわれ、甘さで人に救われる」というお告げをするわけだが、その時彼女が引いたタロットは「愚者」の逆位置。これはまさしく、中盤で久部が蓬莱に漏らしたように、久部の計画が思い通りにいかないことをもって回収されたといえよう。しかしエンドロール後に再びタロットが登場し、今度は「世界」の逆位置ときた。またしても波乱の予感――それも久部の個人的なところではなく、“久部一座”の一体感と調和を乱す重大な暗示なのではなかろうか。
1984年の渋谷を舞台に、脚本家・三谷幸喜の半自伝的要素を含んだ完全オリジナル青春群像劇。「1984年」という時代を、笑いと涙いっぱいに描いていく。
■放送情報
『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』
フジテレビ系にて、毎週水曜22:00~22:54放送
出演:菅田将暉、二階堂ふみ、神木隆之介、浜辺美波、戸塚純貴、アンミカ、秋元才加、野添義弘、長野里美、富田望生、西村瑞樹(バイきんぐ)、大水洋介(ラバーガール)、小澤雄太、福井夏、ひょうろく、松井慎也、佳久創、佐藤大空、野間口徹、シルビア・グラブ、菊地凛子、小池栄子、市原隼人、井上順、坂東彌十郎、小林薫ほか
脚本:三谷幸喜
主題歌:YOASOBI「劇上」(Echoes / Sony Music Entertainment (Japan) Inc.)
音楽:得田真裕
プロデュース:金城綾香、野田悠介
制作プロデュース:古郡真也
演出:西浦正記
制作著作:フジテレビ
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