倉悠貴、“いけ好かない奴”からキーマンへ 『教場』シリーズが引き出す俳優としての真価

『教場』シリーズが引き出す倉悠貴の真価

 倉悠貴がいい。スクリーンに映る彼は、やはりいい。ついに世に放たれた『教場』シリーズ初の「劇場版」となる『教場 Requiem』を前にして、そう思った。若くして多くの出演作を持つばかりか、すでに彼はいくつもの代表作を持っている。その中でも本作は演技者としての彼のキャリアにおいて、非常に重要な一作になったことだろう。ここでは映画本編の結末にも触れつつ、このことについて記していきたい。まだ映画を観ていない方はご注意いただきたい。

※本稿は『教場 Requiem』のネタバレを含みます

映画「教場 Requiem」| 本予告映像<90秒> |【2月20日(金)公開】

 この『教場 Requiem』は、木村拓哉が主演を務める『教場』シリーズの最新作。警察学校を舞台に、主人公である鬼教官・風間公親のもとに集った生徒たちの奮闘を描いていくものだ。2020年にスペシャルドラマとしてはじまったシリーズであり、生徒役には将来を嘱望される期待の新人たちや、若き実力者たちが選抜されてきた。そのうちのひとりが倉悠貴というわけである。

 倉が演じる氏原清純が登場したのは、2026年の1月1日よりNetflixで配信がスタートした『教場 Reunion』から。同期である「205期生」たちの中でもっともクールな性格で、彼は群れることを嫌っている。何やらいつも風間の様子を観察しているようで、腹の内が読めないキャラクターだ。同期の門田陽光(綱啓永)や星谷舞美(齊藤京子)らと比べると、どこまで本気で警察官を志しているのか分からない。これまでの風間の教え子でいえば、「198期生」の都築耀太(味方良介)に近いかもしれない。彼もまた腹の内が読めない人物で、風間のことを調べていた。

 同期の者たちにさえ敵意を隠さなかった都築が“嫌な奴”だとしたら、さしあたり氏原は“いけ好かない奴”といったところだろうか。それは『教場 Reunion』の配信がはじまってすぐ、私たちが気づいたことだ。あの都築でさえ心変わりしたように、風間の教え子たちの多くは成長し、人々の暮らしを守るためにこの「教場」を巣立っていく。そう、警察官として人生を歩んでいく者たちが育むべきなのは、“人々の暮らしを守る”という意思なのである。

 けれども残念ながら氏原は、『教場 Requiem』の物語が後半に差し掛かっても、いっこうに態度の変化を見せることがない。非常に残念だ。しかしながら『教場』シリーズを追いかけてきた人々は、彼のこの様子に胸が高鳴ったはず。本作にはまだいくつかの山場がある――そしてそのうちのひとつの中心に立つのが、“倉悠貴=氏原清純”であるのだと。

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