蓮佛美沙子がNHKドラマに引っ張りだこの理由 『ばけばけ』で期待の“変幻自在の演技力”

『ばけばけ』蓮佛美沙子が引っ張りだこの理由

 蓮佛美沙子という女優を語る時に、まず思い浮かぶのは、透き通るような白い肌、つぶらな瞳、そしてどこか「儚さ」を纏った佇まいだろうか。

 だが、彼女の魅力を「静かな佇まい」だけで語るのはもったいない。そもそも蓮佛は、幅広い役柄を自然体で演じ分けるのが実に上手い。

 NHK夜ドラ『バニラな毎日』では、不器用で健気なパティシエを好演。NHK夜ドラ『ひらやすみ』では育児と夫に振り回されながらも気丈に立つ母親を、ナチュラルに演じた。映画『女優は泣かない』では、若手ディレクターに「はぁ?」と噛みつく崖っぷち女優として、火花の散るような激情をスクリーンに見せつける。その振れ幅の大きさは、もはや「変幻自在」という言葉すら追いつかないほどだ。

 そんな蓮佛が、NHK連続テレビ小説『ばけばけ』熊本編で、ヘブン(トミー・バストウ)の同僚ロバート・ミラー(ジョー・トレメイン)の妻・ランを演じることが決まった。朝ドラ出演は『べっぴんさん』(2016年度後期)以来9年ぶり。ランという女性を、蓮佛がどのように演じるのか。本記事では、蓮佛美沙子の演技の魅力や、さまざまなドラマ・映画に引っ張りだこの理由を掘り下げていく。

 蓮佛美沙子は、鳥取県鳥取市出身の女優であり、2006年の映画『犬神家の一族』でデビュー。翌年には『転校生 -さよなら あなた-』で映画初主演を果たし、それ以来、主役から脇役に至るまで、長きにわたり多様な作品に出演している。

 蓮佛の出演作として記憶に新しいのが、大阪で小さな洋菓子店をひとりで切り盛りする白井葵を演じた『バニラな毎日』だ。クセの強い料理研究家・佐渡谷真奈美(永作博美)や、活動休止中の人気バンドのボーカル・秋山静(木戸大聖)との出会いを通して、少しずつ心を開いていく葵の変化を、蓮佛は丁寧に演じ切っていた。

 静が「ブラウニーじゃなくて、オペラが作りたい」と自信満々に語る場面でも、葵は落ち着いた声で「先に、手を洗ってもらってもいいですか?」と返し、別のケーキを提案するほど冷静。ところが、強気な態度に振り回されながらも、どこか惹かれていく心の揺らぎが、表情の端々にそっと滲んでいた。

 一方で、お菓子作りのシーンでは一転し、鬼気迫る集中力を見せ始める。手元の動き、息づかい、視線の鋭さに至るまで、「お菓子作りへの強い愛とプライド」が確かに宿っていた。

蓮佛美沙子×永作博美の抱擁は“愛”そのものだった 『バニラな毎日』が届けた幸せのあり方

  見た目は芸術品のように美しく、食べれば豊かな香りと甘さが口の中に広がるお菓子は、最初から甘かったり膨らんでいたりするわけでは…

 その後、さまざまな出来事を経て、葵は佐渡谷から静の復帰ライブのチケットを受け取り、会場へ向かうことになる。ステージで歌う静を見つめる葵の瞳はまっすぐで、今にも涙がこぼれそうに潤んでいるのに、懸命にこらえている様子が、わずかに歪む口元から伝わってきた。

 素直になりたいのに、なれない。変えられない運命を受け止めるのが怖い。それでも、懸命に歌う静の姿を前に、胸の奥から言葉にならない想いがこみあげてくる。その切ない瞬間を、蓮佛はリアルかつ丁寧に掬い上げていた。

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