『ばけばけ』の巧妙な1週間の構成 髙石あかり×トミー・バストウの相性を噛み締める回に

NHK連続テレビ小説『ばけばけ』第21週「カク、ノ、ヒト。」は、木曜日放送(2月26日)の第104話でイセ(芋生悠)の呪いの話が一件落着した。トキ(髙石あかり)へと不幸せが乗り移り、さらにヘブン(トミー・バストウ)のブードゥー人形へと呪いが移っていく。ヘブンにとって、トキの考えや言葉、心が必要不可欠だと改めて気づかされる回となった。
2月27日放送の第105話は、新たに物語が動き出す回だ。1週間の構成として、金曜日にひとつの展開が着地することが多い朝ドラとしては少し珍しい内容でもある。2週にわたった“サワ編”の時とも様子は異なりそうだ。

トキの“スバラシココロ”を信頼し、ヘブンはトキにリテラリーアシスタントとしての仕事を任せるようになっていた。日本語の読めないヘブンの代わりに新聞を読み、気になる事件をメモして取材してくる。かつての錦織(吉沢亮)の代わりであり、夫婦にして相棒だ。ヘブンのネタメモも数え切れないほど貼り付けてある。
第105話でスポットが当たるのは、ヘブンの心情である。まず、この回では同僚の英語教師・ロバート(ジョー・トレメイン)の妻・ラン(蓮佛美沙子)が初登場する。ランは英語について「少しだけ」と謙遜するが、ロバートもヘブンも認めるほど“西洋クラス”の英語ができる。それでいて謙虚で、気品と愛嬌も兼ね備えている。トキはトキ、ランはランなのだが、トキは自分にはないものをランに見出して憧れを抱き、ヘブンもトキとの英語の練習を再開する。夫婦としても相棒としても、英語で会話できるに越したことはない。ランに触発された形だ。

そして、思わずドキッとしてしまうのが、ヘブンに届いたイライザ(シャーロット・ケイト・フォックス)からの手紙だ。その名前に、書き物をしていたトキの手が止まる。内容は『日本滞在記』に重版がかかり、ヘブンに講演や仕事の依頼が殺到していること。「アメリカに帰ってくるつもりはない? 今帰ってくれば売れっ子作家になれるわよ」とも添えられていた。司之介(岡部たかし)から手紙の内容を聞かれ、ヘブンは『日本滞在記』の人気を伝えるも、アメリカ行きの話は口にしなかった。もちろん、トキにも。それは第22週「アタラシ、ノ、ジンセイ。」の予告にある「アメリカ、イク、シタイデスカ?」に繋がっていく話であり、ヘブンの心が移住に揺れていることが分かる。
トキの英会話はというと、ほんの少しずつ上達していた。とは言っても相変わらずの「センキュー」レベル。ランのような流暢な英語になるまでにはまだまだ時間がかかりそうだ。トキの原動力になっているのは、ランへの憧れと、次の本の執筆を心待ちにしているイライザへの貢献。しかし、なぜだかトキを突如、強い眠気が襲う。それはロバートたちの洋館に行った気疲れか、それとも春の陽気に誘われてか。おそらく、多くの視聴者が予感しているのは「トキの妊娠」だろう。
第21週の予告で倒れるトキを見てそれを予想した視聴者も多かったようだが、結果的にはイセの呪いを引き受けて倒れたものだった。冒頭で「木曜放送回で一旦の区切り」と記したが、今回の眠気が本当に妊娠のサインだったとすれば、1週間の構成として見事と言わざるを得ない。
■放送情報
2025年度後期 NHK連続テレビ小説『ばけばけ』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:髙石あかり、トミー・バストウ、吉沢亮、岡部たかし、池脇千鶴、小日向文世、寛一郎、円井わん、さとうほなみ、佐野史郎、北川景子、シャーロット・ケイト・フォックス
作:ふじきみつ彦
音楽:牛尾憲輔
主題歌:ハンバート ハンバート「笑ったり転んだり」
制作統括:橋爪國臣
プロデューサー:田島彰洋、鈴木航、田中陽児、川野秀昭
演出:村橋直樹、泉並敬眞、松岡一史
写真提供=NHK























