『あんぱん』“逆転しない正義”を探すのぶと嵩 登美子の再三の登場で何が起こるのか?

『あんぱん』逆転しない正義を探すのぶと嵩

 先週金曜日の朝は、「やったー!」と思わずテレビの前でガッツポーズした人が多いのではないだろうか。たくさんの人たちのお膳立てによって、のぶ(今田美桜)と嵩(北村匠海)がついに結ばれたのだ。出会いからすでに19年。物語開始からも4カ月が経っており、2人が夫婦になることは分かっていても、まだかまだかとはやる気持ちが抑えられなかった。

 そんなもどかしさからは卒業。「ふたりしてあるく今がしあわせ」という多幸感溢れるサブタイトルがつけられたNHK連続テレビ小説『あんぱん』第18週初日の放送から、のぶと嵩の二人三脚の歩みがスタートする。

 互いの気持ちを確かめ合ってから3カ月が経ち、2人は東京と高知で遠距離恋愛を続けていた。恋心というものは自覚した途端に加速するもの。のぶは今まで仕事で頭がいっぱいだったが、嵩に会えない寂しさを募らせていた。すっかり相談役となった八木(妻夫木聡)もその表情から気持ちを察する。そんな中、子どもたちが盗んできた本を取り上げて、「見たことある詩集だな」と八木がニヤリ。それは嵩の愛読書である井伏鱒二の詩集だった。嵩が東京に来たことを視聴者に伝える粋な演出だ。

 嵩の顔を見るなり、のぶの表情はパッと明るくなる。記者の忙しさを知っているのぶはしばらく会えないのを覚悟していたため、喜びもひとしおだ。さらには嵩から高知新報を辞めたことを聞かされ、驚くのぶ。嵩の背中を押したのは、東海林(津田健次郎)だった。

 のぶと結ばれた時点で嵩の中ではもう東京に行くことは決まっていたようなもの。東海林も嵩の思いには気づいていたが、本人の言葉を待っていたのだろう。しかし、ようやく辞めると言いにきたかと思ったら、地震の一件で記者失格だと思い知らされたなどと言い訳する嵩に東海林は「本当のことを言え」と語気を強める。嵩が東京に行く理由は一つしかない。のぶと一緒になるためだ。

 その上で「のぶと一緒になるがやったら、仕事よりも大変な使命がある」と告げる東海林。嵩とのぶの大事な使命、それは入社試験で2人が語った言葉にすでに隠されていた。子供の頃から正反対の性格で、戦争に対する考え方もまるで違った2人。だが、戦争から得た教訓は同じだった。正義は時代や立場によって大きく変わるということ。だとしたら、絶対的な正義とは何なのか。戦後、のぶと嵩はそれぞれがその答えを追い求めてきた。

「何年かかっても、何十年かかっても、二人でその答え見つけてみい」

 幼くして父親を亡くしたのぶと嵩。寛(竹野内豊)や釜次(吉田鋼太郎)をはじめ、身近な人たちが2人の父親代わりを務めてきたが、東海林もまたその一人だった。厳しくも愛情溢れる上司であり、父のようでもあった東海林のはなむけの言葉をもって、のぶと嵩はともに歩み始める。ここから描かれるのは2人の“逆転しない正義”を探す旅、ひいてはそれを体現するアンパンマンを生み出すまでの物語だ。

 そんな矢先、登美子(松嶋菜々子)がのぶの家を訪ねてくる。登美子の登場は第50話以来、約8週ぶり。戦後の安否が不明だったためにまずは無事だったことに一安心だが、どこでのぶたちの居場所を聞きつけたのかが気になるところだ。かつて、のぶは嵩を振り回す登美子を咎め、登美子もまた嵩が受験に落ちた件でのぶに嫌味を言ったことがある。のぶと嵩が恋人から夫婦になる過程で、登美子は壁となるか、それともキューピットとなるか。

■放送情報
2025年度前期 NHK連続テレビ小説『あんぱん』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00〜8:15放送/毎週月曜〜金曜12:45〜13:00再放送
BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜8:15〜9:30再放送
BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:今田美桜、北村匠海、江口のりこ、河合優実、原菜乃華、高橋文哉、眞栄田郷敦、大森元貴、戸田菜穂、戸田恵子、浅田美代子、吉田鋼太郎、妻夫木聡、阿部サダヲ、松嶋菜々子ほか
音楽:井筒昭雄
主題歌:RADWIMPS「賜物」
語り:林田理沙アナウンサー
制作統括:倉崎憲
プロデューサー:中村周祐、舩田遼介、川口俊介
演出:柳川強、橋爪紳一朗、野口雄大、佐原裕貴、尾崎達哉
写真提供=NHK

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