『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』のテーマは? 劇場先行上映中の予告編を解説

歴代世界興行収入ランキングで、堂々1位の座に輝く『アバター』(2009年)。第2作の『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』(2022年)も3位にランクインしている。そんな圧倒的な成績を残す『アバター』シリーズの3作目となる映画『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』が、いよいよ12月19日に日米同時公開される。監督・脚本はもちろん、世界最大のヒットメイカー、ジェームズ・キャメロンだ。
そんな超大作の予告編が、7月25日から公開の『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』と併せて上映が始まった。現在、この予告編が観られるのは、映画館のみである。
これまでほとんど情報がなかっただけに、予告編に映し出される映像の内容に、大きな話題が集まっている。いったい、そこでは何が映し出されていたのか。限られた情報のなか、この予告編から読み取れる範囲で、物語の展開やテーマなどを予想、考察していきたい。
『アバター』シリーズ共通の舞台となっているのが、地球から遠く離れた星系にある巨大ガス惑星の衛星「パンドラ」だ。広大なジャングルや海など、どこか地球の豊かな自然を思い起こさせながら、よりワイルドに、ファンタジックにしたような魅惑的な光景が特徴。そこには「ナヴィ」といわれる、大きな身体と青い肌を持った知的な先住民が存在する。彼らは大自然や不思議な動物たちと調和をとりながら生活をしていた。

シリーズを通して描かれてきたのは、地球からパンドラへの移住を目指し、自然を切り崩して星を支配しようとする資源開発機構(RDA)の兵士たちと、ナヴィとの対立的な構図だ。本シリーズの中心人物であるジェイク・サリー(サム・ワーシントン)は、かつて人間側の兵士として、ナヴィのクローンに人間の精神を繋げて遠隔操作する「アバター計画」に身を投じる。だが、ナヴィの女性ネイティリ(ゾーイ・サルダナ)との出会いをきっかけに、ナヴィの暮らしと自然を守る側にまわり、ついにはナヴィそのものとなる。
第2作で描かれたのは、「サリー家」の家族の物語だ。前作から10年以上経ち、ナヴィの一部族「森の民」として生き続けていたジェイクは、ネイティリとの3人の子ども、そして養女と人間のスパイダーとともに平和に暮らしていた。しかし、さらなる人間側の侵攻に脅かされ、「海の部族」とともに、侵略から身を守ろうとするのである。その戦いのなかで、ある悲劇が起こってしまう。

予告編では、そんな出来事が生む亀裂と葛藤が垣間見える。ジェイクはネイティリと口論し、「憎しみ(ヘイト)を抱えて生きていたくはない」と、心情を吐露する。戦いによって家族を失えば、敵側に激しい怒りを抱くのは当然のことだ。しかしその感情に囚われ続けることが、果たして正しい生き方なのか。家族への愛と、理性という内面の葛藤が、本作の一つのテーマになるはずである。
そして映像では、戦いと冒険の舞台が、パンドラのまだ見ぬ地域に移行することを示唆する。その地にあるのは、超巨大な活火山。火口からもうもうと噴き上がる黒煙は空を覆い、広大な大地には白い灰が降り積もっている。3D映像では、光り輝く火の粉が目の前に浮遊したり、火矢が飛び交う演出が見られ、目を奪われる。
また、巨大なエイに気球みたいな器官が発達している飛行生物も登場。不思議な生物たちが現れる趣向も健在だ。映像技術を新たに研究、開発するなどの革新を続けながら、誰も見たことのない視覚体験を提供してきたキャメロン監督だけに、今回も未体験の映像を味わえるのは確実だろう。




















