『ちはやふる-めぐり-』“青春”は何年経っても終わらない 連ドラだから描けた“平等”さも

『ちはやふる』が連ドラだから描けた“平等”

 めぐる(當真あみ)を筆頭に、団体戦に必要な部員5人が集まった梅園高校競技かるた部。人数が揃ったとなれば、次は地区予選に向けてひたすら練習に打ち込むしかない。新たに入部した4人は奏(上白石萌音)の指導のもとで、まず百首を覚えるための暗記テストや素振りに臨み、実践練習を行うべく「府中夕霧会」というかるた会へ。ここで登場するのが、かつて奏と一緒に瑞沢高校競技かるた部で青春を懸けた仲間である“肉まんくん”こと西田優征(矢本悠馬)だ。

 7月23日に放送された『ちはやふる-めぐり-』(日本テレビ系)第3話。夕霧会の入会テストとして、西田と1対2でかるたを取ることになるめぐると千江莉(嵐莉奈)。しかしまったく歯が立たず、一枚も取ることができない。それもそのはず、なにせ子どもの頃からかるたに打ち込み、綿谷新がいなければ小学生のトップに立っていたほどの実力者であり、高校時代にはクイーンの千早(広瀬すず)と切磋琢磨してきたA級選手なのだから。かるたに目覚めたばかりで実戦経験ゼロの高校生が敵う相手ではない。

 いずれにせよ西田は2人との対戦のなかで、渡り手(自陣か敵陣のどちらか一方に友札が左右に分かれて置かれている時に、両方とも払ってしまう技)や囲い手(6字決まりの大山札が読まれた際などに、札に触れないようにしながら相手から取られないように手で囲うという技)などを繰り出す。よくよく考えてみれば、映画版3作では千早や太一にフォーカスが当てられ、西田の気迫あふれる取りと安定した強さがフィーチャーされてこなかった気がする。まさかここに来てそれがみられるとは。

 ところで今回のエピソードタイトルに使用されているのは、藤原道雅が詠んだ〈いまはただ おもひたえなむ とばかりを ひとづてならで いふよしもがな〉。劇中で奏が解説していたように、許されぬ恋をした道雅が、伝えられない想いを込めた歌である。そこにある“泣く泣く諦めることの無念”というものが、千江莉の無念と重ねられていく。子どもの頃から野球に打ち込んできた彼女だが、高校に入り男女の体格差と体力差が広がっていくことに直面し、さらに事実上の女子禁制ともいえる高校野球の制度によって夢を絶たれてしまう。

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