『僕達はまだその星の校則を知らない』磯村勇斗が見た学校という小宇宙 校則は誰のため?

若手弁護士が生徒に寄り添いながら、法律知識を駆使して校内の問題をあざやかに解決する……というよくあるリーガルドラマで学園ものの青写真は、早い段階でかき消されて、眼前には手つかずの宇宙が広がる。その驚きは、望遠鏡でのぞいた宮沢賢治の銀河のようだ。
憲法13条の幸福追求権。かつて争われた髪型や制服の自由、生徒は学校が決めた校則に従わなければならないかという問題に、声高な主張や対立をあおるスタンスではなく、それらを決して否定せず、より大きな視野からアプローチする。いや、作為的ですらない健治の試み、あるいは問いかけ。ただそこにある美を、宇宙の運行のような繰り返される営みと、今を生きる生徒のひたむきさとまっすぐな瞳に心を打たれて、見出した光。
模擬裁判が力と服従のデモンストレーションで終わったことと対照的に、解決の糸口は生徒のほうにあって、互いの胸のうちを明かした鷹野(日高由起刀)と瑞穂(南琴奈)のゆるやかな“連帯”が、本音ベースの円満な着地をもたらした。もちろん、そこには異論もある。かえで(中野有紗)が自由を求めるのは、彼女なりの思いがあってのことだろうし、それさえもある種の情熱の発露として、健治の目にはまぶしく映える。学校という小宇宙と、生徒たちの可能性を健治は見たのだと思う。
大森美香が脚本を手がける本作は、教え育む行為の根底にある、生命への畏敬の念と祈りに満ちたものとなるだろう。なつかしくも切ない郷愁を誘う劇伴は、フランス人作曲家/編曲家でピアニストのベンジャミン・ベドゥサック(Benjamin Bedoussac)によるものだ。
何事にも臆病で不器用な主人公が、共学化で揺れる私立高校にスクールロイヤー(学校弁護士)として派遣されることになり、法律や校則では簡単に解決できない若者たちの青春に、必死に向き合っていく学園ヒューマンドラマ。
■放送情報
『僕達はまだその星の校則を知らない』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週月曜22:00~放送
出演:磯村勇斗、堀田真由、平岩紙、市川実和子、日高由起刀、南琴奈、日向亘、中野有紗、月島琉衣、近藤華、越山敬達、菊地姫奈、のせりん、北里琉、栄莉弥、淵上泰史、許豊凡(INI)、坂井真紀、尾美としのり、木野花、光石研、稲垣吾郎
脚本:大森美香
音楽:Benjamin Bedoussac
主題歌:ヨルシカ「修羅」(Polydor Records)
監督:山口健人、高橋名月、稲留武
プロデューサー:岡光寛子(カンテレ)、白石裕菜(ホリプロ)
制作協力:ホリプロ
制作著作:カンテレ
©︎カンテレ
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