磯村勇斗は“いまもっともイケてる俳優”だ イメージに囚われないキャリアを振り返る

磯村勇斗のイメージに囚われないキャリア

 いまもっともイケてる俳優は誰だろうか。これはもちろん一人ひとりの観客や視聴者によって変わるものだろうし、映画の公開やドラマの放送、舞台への出演など、活動が活発になる時期というのは俳優それぞれだ。そんななか、いまこの時点において誰か1人を挙げるならば、私は迷わずに磯村勇斗の名を口にする。同じような方は多いのではないだろうか。

 現在放送中のドラマ『ケイジとケンジ、時々ハンジ。』(テレビ朝日系)に出演の磯村は、大ヒット作『東京リベンジャーズ』(2021年)の続編である『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-』にも出演。同作は前後編の2部作構成で、後編の『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編-決戦-』も間もなく公開だ。こちらは多くの方がご存知のとおり、人気少年マンガを実写化した作品で、磯村と同世代の力のある俳優たちが勢揃いしている。いわゆる“メジャー作品”だ。

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 さらに現在は、韓国のヒット作をリメイクした『最後まで行く』も公開中。岡田准一が“追われる男”を、綾野剛が“追う男”をそれぞれ演じている本作は、ある事故をきっかけとして彼らの闘いが繰り広げられるというもの。磯村が演じているのは事故の被害者だ。つまりはこの作品の、この物語の、この男たちの闘いの、引き金を引く存在である。事故の被害者のことをこのように記すのは不謹慎かもしれないが、磯村が演じるチンピラが事故に至る過程までも映画は描いている。彼は本作の最重要人物ともいえる存在であり、名実ともに力のある俳優にしか務められないポジションだ。これまた“メジャー作品”である。

『渇水』©2022『渇水』製作委員会

 そしてこの『最後まで行く』の公開に続くかたちで、『波紋』と『渇水』の2作が2週連続で公開された。いずれも文学的な作品であり(後者は純文学小説が原作)、“アート作品”の要素も多分に含んでいる。ド派手でスペクタキュラーな『東京リベンジャーズ』や『最後まで行く』とは対極的な作品たちだ。演じているのも、フィクショナルな不良や半グレ、チンピラなどではなく、私たちが生きるこのままならない現状を共有する1人の青年だったりする。いまはまさに、俳優・磯村勇斗の演技の幅や柔軟性、適応能力の高さなどを知ることのできる絶好の機会なのだ。

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