芦田愛菜、『果てしなきスカーレット』で新天地へ? 細田守作品の歴代キャストにみる共通点

11月21日に公開される、細田守監督の4年ぶりとなる長編アニメーション映画『果てしなきスカーレット』に芦田愛菜と岡田将生が声優として出演する。子役時代から名優ぶりを発揮し続け、アニメ作品への出演経験も豊富な芦田と、声だけの演技経験は少ないが俳優としての実力は折り紙付きの岡田の組み合わせが、共に初出演となる細田監督の作品にどのような輝きと彩りを与えるのか?
細田守新作『果てしなきスカーレット』主人公の声優に芦田愛菜 岡田将生が看護師役に
11月21日に公開される細田守監督の最新作『果てしなきスカーレット』に声優として芦田愛菜と岡田将生が出演することが発表され、あわ…父を殺され復讐しようとして失敗した王女・スカーレットが目覚めたのは“死者の国”。そこで宿敵に復讐を果たし、“見果てぬ場所”にたどり着かなければ「虚無」となって消えてしまう。そんなシチュエーションの上で繰り広げられる『果てしなきスカーレット』で、スカーレットを演じるのが芦田。名子役から名俳優へと着実に歩んでいるキャリアは誰もが知るとおり。世界で人気の細田監督作品への出演によって、ワールドクラスの知名度を得るようになるかもしれない。
顔も手足も体も使って演じる実写映画やテレビドラマ、舞台の世界と、声だけのアニメとでは勝手が違うという声もあるが、実は芦田はその方面でもベテランだ。8歳になったかどうかという時期に出演した『マジック・ツリーハウス』(2012年)で、本の中の世界を大冒険する元気な少女・アニーを演じ、中学生のときには、五十嵐大介の漫画を原作にした『海獣の子供』(2019年)で多感な女子中学生・安海琉花を演じてのけた。
最近でも、『岬のマヨイガ』(2021年)で震災に巻き込まれながらしっかり生きようとする女子高生、『かがみの孤城』(2022年)でオオカミの仮面をつけた尊大な少女と、メイン級のキャラを次々と演じてきた。子役の枠から出て年齢を重ねても、その時々で役になりきって演じられる巧さがあるからこその起用。『果てしなきスカーレット』でも、19歳で王女というスカーレットの立場をしっかり汲んだ声を聞かせてくれるだろう。
細田守が起用した“俳優”たち
細田監督は、いわゆる声優と呼ばれる人たちではなく、俳優を自作に起用することが多い。『時をかける少女』(2006年)の仲里依紗に始まって、『おおかみこどもの雨と雪』(2012年)では宮崎あおい、『未来のミライ』(2018年)では上白石萌歌といった具合にメインキャストに俳優が並ぶ。前作『竜とそばかすの姫』(2021年)に至っては、シンガーの中村佳穂と幾田りらを起用。それぞれの声の持ち味がキャラクターたちに生命感を与えるようなキャスティングを行ってきた。
こうした出演者たちの中でも、芦田は演技巧者ぶりで際立っている。それだけスカーレットという役に難しさがあって、芦田を求めたということだろう。ひとつ懸念があるとしたら、芦田にとって過去にあまりない役柄だというところだ。王女という高貴な身分にあって、高いプライドと強い責任感を持ったスカーレットという存在に、どこまでなりきっているのか興味を誘われる。
「“復讐”とはどのような気持ちなのか、きっと大きな声を出さないと立ち向かっていけないだろうと想像しながら演じました」(※)という芦田のコメントには、細田監督の意図を汲んでジリジリと役に寄っていった努力が感じ取れる。口調を合わせるだけでなく、全身から演技して役になりきる。その成果を、プレスコという、先に声を録音してから映像を合わせて作画していく作り方を採用することで、しっかりと絵に重ねて違和感のない世界を創り出してくれていることだろう。





















