趣里×ジェシー『モンスター』は“現代の幸福論” 単なる法廷ドラマに収まらない魅力を紐解く

趣里×ジェシー『モンスター』は現代の幸福論

 ドラマ後半でクローズアップされるのが、亮子と父である粒来春明(古田新太)との関係。高校生の亮子を置いて出て行った粒来の秘密はいったい何か? 父と娘の言葉にならない会話は、法廷での対決を介して真剣勝負のゲームとして繰り広げられる。粒来は含みのあるキャラクターだ。本作のジャンルは法廷ものだが、同時に形を変えた親子のドラマであることを、粒来を通して描いている。

 民事と刑事、個人または集団による訴訟を扱い、勝訴以外に和解や取り下げ、法廷外の決着を含む多様な司法的解決を取り上げた『モンスター』は、著名な判例の引用や、刑事ドラマの名作を思わせるカットも挿入されている。法律の裏づけと遊び心を盛り込んだ本作は、繰り返し視聴することで、張りめぐらされた伏線に気づくことができる仕組みだ。

 最終話のタイトルは「求める者たちへ」。民事裁判では訴状に請求の趣旨を記載する。何かを求めるからこそ私たちは争う。その結果あらわになるのは心に秘めた欲望だ。その膨張したエゴをモンスターと呼ぶことはできないだろうか? 幸せを求めながらどこか空虚な私たちの盲点を突く『モンスター』は、現代の幸福論である。

■リリース情報
『モンスター』
Blu-ray&DVD BOX発売中

[Blu-ray BOX]
価格:35,035円(税込)
品番:VPXX-75202

[DVD BOX]
価格:28,600円(税込)
品番:VPBX-15799

【特典】※Blu-ray&DVD BOX 共通
<特典映像>
■メイキング集
■趣里×ジェシー×宇野祥平×音月桂 座談会

<封入特典>
■ブックレット

出演:趣里、ジェシー(SixTONES)、宇野祥平、音月桂、中川翼、YOU、古田新太ほか
脚本:橋部敦子
監督:三宅喜重、木内健人、樹下直美
プロデューサー:加藤春佳、山本喜彦、大塚安希
主題歌:ちゃんみな「FOREVER」(NO LABEL MUSIC / Warner Music Japan)
オープニング曲:I Don't Like Mondays. 「Shadow」(Rhythm zone)
音楽:菅野祐悟
制作:カンテレ、MMJ
発売元:カンテレ
販売元:VAP
©カンテレ/MMJ

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